協賛企業

エルテス テーマ解説インタビュー

Contents

今年、初めてテーマを出題するエルテス。ホームページを見ると、高校生にとって耳馴染みのない言葉が並んでいると感じるかもしれない。そんなエルテスが今回マイナビキャリア甲子園に出題したテーマは「誰もが快適に暮らせる次世代都市」。エルテスが考える未来の都市とはどんなものなのだろうか。エルテスの事業を解説するとともに、テーマ設定の背景に迫った。(取材:羽田啓一郎)

お話を伺った方

奥村 高大さん

滋賀県出身。高校時代は野球に没頭。進路を考える際、世の中で切っても切り離せないお金について学べる経済学部や商学部を検討していく中で、経済学部は国、商学部は会社が稼ぐことと、お金に関する切り口が違うなと考え、商学部を選択した。大卒後は、銀行や人材業界で働きさまざまなフィールドで活躍するプロと出会う。そんな中自分も企業相手のビジネスのプロになりたいと考え、エルテスに転職。

岡部 由佳さん

山梨県出身。高校時代陸上やバスケットボールなどスポーツに打ち込んでいたこともあり、進路選択の時はスポーツの観点から地域活性に関わりたいと考え、地域創造学環を選択。就職活動中にスポーツ以外のことにも興味を持った頃、デジタルの分野で地域活性を行うエルテスに出会い、就職を決める。

SNSでのリスク対策を行う会社、エルテス

ー今日はよろしくお願いします。エルテスとはどのような事業をやっている会社なのかを教えてください。

奥村:当社はSNSのリスクを検知する事業をメインに行なっています。具体的に言うと、デジタル空間の中で、企業全体や経営者・著名人などの個人に関するネガティブなSNS投稿を検知し、クライアントにアラートを出しているサービスです。さらには、アラートを出すだけでなく、その後どのように対応していくかのコンサルティングも行なっています。2011年の東日本大震災以降、日本国内でも急激にSNSが広がっていったのですが、それに伴いリスクも増えてきました。結果、多くの企業様から当社のサービスをご支持いただき、2016年、東証マザーズ市場に上場しています。

ーSNSのリスクとはどのようなものでしょうか?

岡部:高校生のみなさんにイメージしやすいのはいわゆる「炎上」というものですね。昨今バイトテロや飲食店での不適切行為がSNSで炎上しているのは目にしたことがありますよね。デジタルタトゥーという言葉がありますが、SNSのトラブルは本人がスマートフォン上で消してもSNSを通して拡散されていきます。結果、お金に関するトラブルだけではなく就職や人間関係など、その後の人生にも関わってきてしまいます。それは個人だけではなく企業も同様で、不適切な投稿がSNSで拡散されると企業にとってはレピュテーションリスクになるのです。

ーレピュテーションリスクとはなんでしょうか?

奥村:企業や商品サービスの評判、ブランドが損なわれることです。悪い噂によって生まれたイメージは記憶の中に残っていて、ビジネスに影響することがあるのです。実際の商品は問題なくても、SNSで悪い噂が流れてしまうとその商品を買おうとは思わないですよね。それらは企業の業績に影響を与えるため、自社や自社の製品・サービスがSNS上でどのように評価されているのかを気にしているのです。私たちはそうしたSNS上での評判をモニタリングし、問題が発生したら対応しています。

ー確かに現代社会で非常に重要なビジネスですね。モニタリングはどのように行なっているのでしょうか?

岡部:AIと、人間による目視両方で行なっています。人間の目でSNSの全ての情報をチェックするのは当然不可能ですので、まずはAIが情報をチェックし、リスクがあるかどうかのスコアリングを行います。ただ難しいのが、AIだけではその投稿が本当に悪意のあるものなのかわからない点です。例えばあるニュースについてリプライや拡散が続いたとしても、それは炎上ではなく健全な議論が活性化している場合もあります。それはまだAIでは判断できないので人の目を通した確認が必要です。テクノロジーと人が共存して対応していくのがエルテスのビジネスモデルの特徴であり、強みです。

ーいわゆる鍵垢もチェックできるのでしょうか?

奥村:いえ、鍵垢は我々にはチェックができないです。ですが、鍵垢の中で投稿された内容が、スクリーンショットをされ拡散しているのを見たことがある人は多いでしょう。そういったものは、正直防ぎようがないんですよね。改めて、高校生の皆さんにも、SNSというのは他の人が見ている場所なのだということを忘れずに正しく付き合っていただきたいとお伝えしたいです。

ー炎上してしまったものはどう対処しているのでしょうか?

岡部:一度起きてしまった炎上を止めることはできません。ですので、我々が炎上後に企業に提供できることは、プロの目線でどう対応していくべきかをしっかりとコンサルティングしていくことです。例えば、女性向け商材に対して男性が文句を言っていることで炎上していた場合は、業績への影響が少なく静観という選択肢を取るべきとお伝えすることもあります。もし虚偽の情報が広がっているのだとしたら正しい情報を企業として発信する必要があります。炎上を一歩二歩引いて、客観的に見て、適切な判断をしていくことが大切なのです。

エルテスが推進する“メタシティ構想”とは?

ーありがとうございます。理解が深まりました。では改めて、エルテスが出題したテーマについて教えてください。

奥村:弊社は2016年の上場以降、デジタルリスク対策だけではなくデジタル化の促進を支援する領域にも挑戦しています。それらの事業で得たノウハウや知見を活かして推進したいと考えているのが、次世代都市の実現です。私たちの生活は今後より一層デジタル化が進むことが想定されます。その中には、新たなリスクも生まれるでしょう。デジタルに適応するためにご苦労される方もいらっしゃるでしょう。人々が快適に暮らすことができるまちづくりが求められると思います。今回、マイナビキャリア甲子園に挑戦する高校生の皆さんには、デジタルによって快適に生活できる次世代都市について考えてもらいたいと思っています。

岡部:ICTを活用し、都市や地域の抱える問題を解決する“スマートシティ”という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。持続可能な都市や地域として、政府も積極的に推進しているのがスマートシティです。テーマにも記載していますが、行政サービスがデジタル化された10年後、つまり電子行政が成立しているうえで、どのような次世代都市を作っていくのかというのが、一つのポイントです。キーワードとして、シティメンテナンスという考え方があると思っています。イメージは、ビルメンテナンスという概念を街(シティ)に拡張するようなイメージを持って頂けると、想像しやすいのではないでしょうか。そんな社会には、私たちが推進するデジタル空間のリスク対策、リアルな安心安全を提供する警備、そして行政サービスのデジタル化支援サービスが融合し、新たな価値を届けることが出来ると考えています。しかし、まだまだ足りない事業・サービスもあるはずです。

奥村:高校生の皆さんもこの次世代都市を自由に発想してみてください。まずは、皆さんがお住まいの地域のことを調べてみる、10年前と今の違いを考えてみるところから始めると発想しやすいかもしれません。自分の街の暮らしで不便なところ、発生しているリスク、もっと良くできそうなこと、色々あると思います。そこにITが入ることで課題が解決されたりもっと安心して暮らせるようになるところがあるはずです。家族の人に話を聞いてみてもいいかもしれませんね。

先行者利益と逆張り思考で、戦わずに勝つ!

ーわくわくする提案が出てきそうですね。高校生に期待することはなんですか?

奥村:高校生の皆さんのリアルな視点やITに対する認識を知りたいなと思っています。当社はSNSの炎上リスクなどがまだ認識されてない時代にサービスを作っていく等、今後の社会のニーズを読み取ることで会社を成長させてきました。その際に大切にしていることが「逆張り思考」です。例えばかつてアメリカでゴールドラッシュが起こった時、ビジネスとして急成長したのは実はジーンズでした。みんなが金を掘り出すのなら、自分も金を掘りにいくのではなく、金を掘りにいく人たちが動きやすい衣類を販売したわけです。このようにエルテスも、ITが発達していく中でITサービスを行うのではなく、ITサービスが発展していく中で生まれるであろう「リスク」にチャンスを見出しました。こうして他の会社が見落としているポイントで優位なポジションを取り、“戦わずして勝つ”というのがエルテス流のビジネスです。皆さんも、この考え方をアイデアに取り入れてみてほしいですね。

岡部:ITが広がり、ITサービスはどんどん増えていったのですがリスクを事業にしようと思った会社は多くありませんでした。しかし他の会社がやっていないことを先にやっていると、いざニーズが高まった時に先行者利益で勝てるのです。ただ、先行しすぎるあまり、社会からのニーズが高まるまでに多くの年月を有することもあります。これは我々が日々デジタルに接する環境にいるからこそ、世の中の変化のスピードを見誤ってしまっているのだと考えています。そこで、マイナビキャリア甲子園の高校生の皆さんには等身大の皆さんの感覚を発揮いただきたい。皆さんの視点で次世代の都市の在り方について創造いただくことが、エルテスにとって重要だと考えています。

奥村:スマートシティはいろいろな企業が挑戦していますが、私たちはそこに対抗しようとしているのではなく、私たちにしか出来ない次世代都市があると思っています。このように、高校生の皆さんも日本全体、というようなスケールの大きな話ももちろん歓迎しますが、自分が住んでいる街を舞台に考えてみても良いかもしれません。私たち企業では思いつかない、見落としているポイントに、きっと大きなチャンスが眠っているはずです。

関連記事

TOP