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住友林業 テーマ解説インタビュー

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マイナビキャリア甲子園第10回大会に初めて参加する住友林業。テレビCMなどで住宅メーカーというイメージがあるかもしれないが、「WOOD CYCLE」というビジネスモデルを活かして、持続可能な社会の実現を目指す会社だった。木について我々が知らないことをたっぷり語ってくれたインタビュー、マイナビキャリア甲子園攻略のためだけではなく、将来のためにぜひ読んでもらいたい。(取材:羽田啓一郎)

お話を伺った方

三浦 将太さん

バブル経済期時代に青春を送り、当時がむしゃらに働く大人たちに疑問を感じていたものの、ビジネスをわからずに文句を言うのも格好悪いなと思い、商学部に進学。小学生の頃からボーイスカウトで活動し、キャンプや山登りなど野外活動が日常にあったため、就職活動の時は山に関連する会社として住友林業に就職した。住宅事業や木材建材商社、会計や広報部門などさまざまな業務を経験した後、現在は人事部で採用を担当。

中村 恒太さん

大学受験の時は学べる範囲の広さから社会学部を選択し、社会学に加えて心理学も福祉も文学もたくさんの分野を学ぶことが出来た。サッカー、アメフトと部活に没頭する学生生活を送る。就職活動時、ちょうど世間でSDGsの注目度が増していた頃で、木にまつわる幅広い事業ができると思い住友林業に就職。支店での総務業務を経て現在は人事部で採用を担当。

思った以上に壮大な、住友林業の事業とは

ー今日はよろしくお願いします。「住友林業」という会社名はCMなどで聞いたことがある高校生も多いかもしれませんが、何をやっている会社かは意外と知らないかもしれません。まずはどういう会社なのかを教えていただけますか?

中村:ありがとうございます。そうですね、木造住宅を売っている会社だと思われていることも多いのですが、それだけでなく、木に関することはなんでもやっている会社です。植林から植えた木を使い、さらに再植林するところまで、「WOOD CYCLE」という循環を生み出しています。

三浦:もう少し具体的にお伝えすると、当社は日本国土面積の800分の1にあたる4.8万ヘクタールの社有林を保有しています。また、海外でも約24.0万haの森林を管理しています。そして国内外にむけて木材建材の流通を行い、世界中から仕入れた木材をトレーディングする商社としての一面もあります。国内の住宅だけに限らず、オフィスや大学キャンパスといった家以外の木造建築や、海外の住宅を建てることもあり、木造建築の解体材や木材の端材を使ったバイオマス発電もやっています。木を植え、使い、循環させるプロセス全てを事業として行っているのが住友林業という会社です。

ー想像以上にいろいろやられていて驚きました。どうしてそのような事業に取り組まれているのでしょうか。

中村:住友林業は1691年の創業以来、公正・信用を重視し、社会を利する、という『住友の事業精神』に基づいて事業を行ってまいりました。そして「木を生かした持続可能で豊かな社会の実現」を目指しています。実はこれはSDGsが世界的潮流になる前から着々と続けてきていることでもあります。木を育てて使い、また植えるという一連のプロセスは地球環境にも優しく、持続可能な社会の実現に貢献することができるのです。

ー植林で木を増やすことが地球環境にやさしいのはわかるのですが、木を使うことも環境にやさしいのでしょうか?

中村:実は、木を使った方が環境にはやさしいのです。森林は光合成でCO2を吸収して酸素を排出することはご存知かと思いますが、それが地球温暖化の原因となる温室効果ガス削減につながっています。特に、植林してから10年から20年の間は、木のCO2吸収量が最も多いのですが、それ以降は徐々に減少していきます。人間と一緒で、木も若い頃の方が代謝がいいということですね。ですので、再植林をする前提ではありますが、木は切って使ってまた新しい木を植えた方が循環効率が高くなるのです。木は適切な管理をした上で使うことで地球環境にやさしくなります。

ーそれは知りませんでした。木は切らずに守ることが大切だと思っていました。

三浦:実は日本と海外では木に対する課題が異なります。日本は森林が増えているので先ほど中村が説明した通り適切に循環させる必要があるのですが、海外では森林減少が課題となっています。違法伐採や森林火災に関するニュースを見たことがある方も多いのではないでしょうか。だから海外はもっと木を増やしていかなくてはなりません。

意外と知らない、「木」のメリット

ー知らないことばかりで驚きました。それでは今年のマイナビキャリア甲子園に出題いただいたテーマについて教えてください。

三浦:今回、テーマの中にいれている「Mission TREEING 2030」とは住友林業の長期ビジョンです。SDGsの目標年でもある2030年を見据え、住友林業グループとしてのあるべき姿を長期的な事業構想に落とし込んでいます。木を増やし、使うことが脱炭素社会の実現につながるのですが、それは私たちだけでなく社会全体で動いていかなくてはなりません。そこでマイナビキャリア甲子園に参加する高校生の皆さんにも住友林業と同じ目線で考えていただきたいと思い、今回のテーマにさせていただきました。

中村:そのためにはみなさんのような若い方々に「木」をもっと身近に感じていただき、その効果や有用性を知ってもらいたい。例えば実は木は集中力を持続させる効果があると言われていて、木で囲まれた部屋で小学生が宿題をすると集中力が増すという実験結果もあるのです。またインフルエンザによる学級閉鎖も鉄筋コンクリート造と比べると木造校舎は3分の1に軽減されますし、睡眠についても木は良質な睡眠効果があると言われています。木は耐久性がないと思われがちですが、実は、同じ重量で比較すると、鉄の約4倍、コンクリートの約6倍の強度を持つという側面もあります。

中村:こうしたポテンシャルがまだ一般的には十分知られていないことが課題だと思っています。「木を切ることが悪だ」と思われている方も多いです。そして先ほど出てきた集中力や睡眠に対する効果も、効果があることはわかっているのですが、なぜそういう効果があるのかは実はまだわかっていないことも多い。ありがたいことに「木ってなんかいい」と思われることは多いですが、そのイメージをしっかりと具体的なアイデアに落とし込んでもらいたいのです。もっともっと木が我々の生活に身近になり、たくさん使われるようになることで我々の「Mission TREEING 2030」が達成されると思っています。

住友林業のテーマを考える上でのヒントとは

ーありがとうございます。本当に知らないことだらけで驚きました。それでは最後に、住友林業のテーマに取り組む高校生に考え方のヒントを教えてください。

中村:一番最初の考え方は生活の中で木に変えられるものがないか、というところからスタートするとヒントになるかもしれません。鉄やコンクリートのよさもあるのですが、木のよさを活かして木に置き換えられることがもっとあるはずです。ただ、それだとどうしてもスケールが小さくなってしまいます。もっともっと拡張性のあるアイデアを期待したいですね。それこそ、実は木造の人工衛星を打ち上げる計画もあるんです。身近なところから宇宙まで、住友林業の社員になったつもりで自由に考えてほしいですね。

三浦:330年続く住友の事業精神に“浮利にはしり 軽進すべからず”や“自利利他 公私一如”という言葉があります。ビジネスなので利益を生み出す必要はありますが、目先の利益に囚われず、自社だけでなく国や社会にとっての利益という大きな視点で物事を考えてみてほしいですね。そして皆さん自身も、改めて「木」について考えてみてほしいです。これまで千年以上、人と共に生きてきた「木」が、これからの千年も人にとってもっと身近で、もっとかけがえのない存在になってほしい。大人はもちろん、これからの未来社会を創るみなさん高校生自身のワクワクが止まらなくなるような、楽しいご提案を期待しています。

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