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生命保険協会 テーマ解説インタビュー

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毎年マイナビキャリア甲子園を通じて高校生の挑戦を応援する生命保険協会。今年のテーマは「ITによる社会変化」だという。生命保険事業は、高校生にとって身近ではないかもしれないが、日本社会全体に大きな影響を与える存在だ。意外と知らない生命保険について考えてみよう(取材:羽田啓一郎)

お話を伺った方

水越 新さん

新潟県出身。高校3年生で進路を考えた時、企業を法律面で支える企業法務に興味をもち、実践的な学びを求めて法学部に進学。就職活動では、企業だけでなく「人」に寄り添うという点に共感して生命保険に興味を持ち、生命保険各社をサポートする生命保険協会に就職。

本多 絵里奈さん

東京都出身。高校2年生の時に将来は公務員になりたいと漠然と考え、社会を支える汎用的な学問を学ぶため法学部に進学。大学で法律を学ぶうちに、社会の大きなシステムではなく一人一人の視点から社会がどう見えるかを学びたくなり、言語社会研究科修士課程に進む。大学院で学んだ後は生命保険会社に就職し、営業職員の支援に関わったのち、生命保険協会に出向。

生命保険が日本社会に貢献している価値とは

ー今日はよろしくお願いいたします。生命保険協会は5年連続でマイナビキャリア甲子園に参加いただいていますね。改めて生命保険とは何か、教えていただけますか。

水越:よろしくお願いいたします。将来起こるリスクに備えることを「保険」と言いますが、大きく分けて自動車や住宅などモノにかかる保険を損害保険、命や身体にかける保険を生命保険といいます。突然の事故や病気、自然災害など、私たちの生活には予想できないリスクが存在します。生命保険会社は「相互扶助」の理念のもと、一貫して、国民の皆さまへ安心を提供し、国民生活の向上を支えるべく取り組んできました。

本多:私たち生命保険協会は、国内にある生命保険各社が加盟する業界団体です。現在では42社の生命保険会社があり、全国には24万名を超える営業職員がいます。そういったネットワークを通じて生命保険会社は年間約31兆円の保険金等をお支払いするなど、社会保障を補完して人々の生活を支える社会基盤として重要な役割を果たしています。

ー「相互扶助」という言葉が出てきましたが、「相互扶助」とはなんでしょうか。

水越:保険に加入しているお客さま同士で相互に支え合うという意味です。私たち生命保険業界が大切にしている言葉で、「誰かが困ったときに備えてみんなでお金を出し合う」という考え方をしています。保険加入者一人ひとりが保険料を積み上げ、多くの人とリスクをシェアし、万が一のことがあった人を助ける、という仕組みになっていて生命保険の大きな特徴と言えるでしょう。お客さま全体から私たちがお預かりする保険料総額と、私たちがお客さま全体にお支払いする保険金等の総額はほぼ一致しています。相互扶助という精神性は海外の生命保険でも同じですが、日本はその傾向が特に根強いかもしれません。国際的に見ても日本の生命保険業界の規模は大きく、進んでいるといえます。日本人の中に助け合いの精神があることが要因の一つかもしれません。

ーお客さまが払った保険料と生命保険会社がお客さまに払った保険金等はほぼ同じ、というお話がありましたがそれでは会社として利益が出ないのではないですか?

本多:私たちはお客さまからお預かりした大切なお金を、会社や不動産などに投資をしています。生命保険に加入いただいているお客さまに何かあったときにしっかりとお金をお支払いするために、お預かりしたお金をただ生命保険会社の手元に置いておくのではなく、資産運用を通じて増やして備えているのです。

水越:多数の方からお預かりした資金を使って大きく投資運用をする団体を機関投資家というのですが、生命保険業界は実は約419兆円の総資産を保有する国内有数の機関投資家という一面を持っています。投資とは、資金を投じることで成長しようとする企業を応援すること。私たちは投融資を通じて産業発展・経済活性化に貢献するという、日本経済において重要な役割を担っています。環境や社会、公明正大な企業経営を考慮した会社に投資することをESG投資(E: Environment、S: Social、G: Governance)というのですが、私たちはこのESG投融資を含め、持続可能な経済成長への貢献に向けた取組みを進めています。

生命保険協会の今年のテーマは「ITによる社会変化」

ーさて、では今年のテーマについて教えてください。今年の生命保険協会からのテーマには「ITによる社会変化」という言葉が入っています。なぜこのようなテーマにしたのでしょうか?

水越:先ほどもご説明した通り、生命保険会社は「人」に関わる保障を提供していることから、少子高齢化や人口減少、もしくは新型コロナウイルスによる影響など、刻一刻と変化する社会状況を踏まえたビジネスを考える必要があります。近年ではITの発達・変化が著しく、今後も社会全体のデジタル化が進んでいくものと考えております。第10回マイナビキャリア甲子園大会テーマ「Beyond Decade」を踏まえ、このITの発達に重点を置いたテーマが良いのではないかと考えたのです。

本多:過去10年間を振り返った時、多くの社会変化がありましたが、ITによる技術革新も大きなインパクトがありました。そしてそれはきっとこれからも続いていくでしょう。ITによる社会変化によって、10年後、その先の社会にどのような変化を及ぼすのかを想像してみてください。

ーITによる変化で、生命保険は何か影響を受けたり変化したことはありましたか?

水越:あくまで一例ですが、ITの発達によって保険金・給付金を請求する時の手続きが一部簡略化され、お支払いにかかる時間が短縮されました。これまでの手続きは紙によるものも多く、お支払いまでに時間がかかっていました。しかし、ITによって効率化とスピードアップが実現され、お客さまが困った時に迅速に給付金が受け取れる仕組みができました。

本多:他にもあります。たとえばITによって実現することができた保険商品として、健康増進型の保険というものがあります。スマートフォンには日々どれくらい歩いたかが記録されていますし、健康診断の結果もデータとして蓄積されています。そうした健康状況によって保険料が変化する保険商品はIT化によって実現できた保険といえます。

水越:ただ、皆さんが考えていただく企画アイデア自体がITサービスである必要はありません。プレゼン全体の中でITに全く触れないのは趣旨と異なりますが、ITによる社会変化が問題意識としてあれば、その解決策がITである必要はありません。自由に発想してほしいですね。

本多:また、あくまで命や健康、心など“人”に関わるアイデアにしていただきたいです。モノに関することは損害保険なので、同じ保険でも損害保険と生命保険は異なることに注意してほしいです。

生命保険協会のテーマに取り組む際のヒント

ーありがとうございます。“生命保険”という考え方をどう解釈するかが大切になりそうですね。

水越:そうですね、私たちは生命保険という商品を扱っていますが、商品自体にこだわらず、生命保険会社がこれからの社会に貢献できるものは何かを考えてみてください。今、私たちがお客さまに提供しているのは「安心」です。ただ、社会の変化によって、今後お客さまが必要とする「安心」にも変化があるかもしれません。お客さまへ「安心」を提供し続けるためには、10年後、その先の社会において生命保険会社が果たす役割について考える必要があるでしょう。

本多:私自身も生命保険会社が「安心」をお客さまに提供できると考えてこの業界に就職しました。学生時代の私は、2・30代でも病気になる可能性があるということを考え、自分の将来に金銭的な不安を感じていました。このように、その時の年代だからこそ感じる不安や、その立場の人だからこそ感じることがあるはずです。自分自身の不安や悩みはもちろんですが、いろいろな人の立場に立ち話を聞いて考えてみてください。

ーマイナビキャリア甲子園に参加する高校生に期待することはありますか?


水越:昨年度の生命保険協会の代表チーム「りきゃっぷ」には、マイナビキャリア甲子園終了後、当協会内で行っている、生命保険会社全社の代表者(社長)が集まる会議の場でもプレゼンテーションをしていただいたところ、大きな好評・反響がありました。また、大変感銘を受けられた社長からは「当社の職員の前で再度プレゼンテーションをしてくれないか」との依頼をいただきました。高校生ならではの視点で提案された斬新なアイデアと、課題に真っ直ぐに取り組み堂々と発表する姿が、経営者の胸を打ったのです。今回も、あまり固定概念にとらわれずに自由な発想で取り組んでいただきたいですね。

本多:このアイデアを生み出すプロセスは、実はビジネスの世界でも同じことがいえます。新しい商品・サービスの開発やプロモーション企画、問題解決や業務改善における施策の考案など、あらゆる仕事で必要とされることと同じプロセスを今回皆さんは体験するのです。ぜひ頑張っていただきたいですね。

水越:みなさんにはこれから長い人生が待っていますが、高校生という早い時期から将来への備えについて考えるきっかけになってほしいと思いますし、生命保険を身近に感じていただくとともに、保険会社の社会的意義の大きさや事業領域の広さを感じていただけると嬉しいです。皆さんから提案いただいたアイデアについては、私たちは真摯に受け止めて向き合っていきますので、ぜひ素敵な提案を待っています!

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