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J-POWER テーマ解説インタビュー

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昨年度マイナビキャリア甲子園に初参加したJ-POWERが、今年のテーマとして設定したのは「地域社会」。日常生活の中でJ-POWERの名前に触れる機会はあまりないが、実は私たちの生活に常に密着している企業でもある。そんなJ-POWERはなぜ「地域社会」にテーマを設定したのか?(取材:羽田啓一郎)

お話を伺った方

金谷 隆広さん

現代社会の科目に興味を持ち、幅広い社会の仕組みを学びたいと思い、理系から文転し法学部に進学。司法試験も興味があったが、新卒就活は一度しかチャンスがなく、学んだ法務知見をいち早く実務で活かそうと民間企業就職を決意。世界中で幅広くインフラ事業を展開するJ-POWERの可能性や自由な雰囲気に魅力を感じ、入社。

中野 優香さん

高校生の時は自分が何をしたいか明確にわからず、様々な分野が学べると思い政治経済学部に進学。就職活動の際は幅広く影響力がある仕事につきたい、という軸でインフラや建設業界を志望していた。その中で、海外展開もしており、活躍の幅が限定されずに自分のキャリアを築けるJ-POWERに出会い、入社。

昨年度大会、高校生と共に戦ったJ-POWERとはどんな会社なのか?

ー昨年、初めてマイナビキャリア甲子園に参加されましたが、振り返ってみていかがでしたか?

金谷:高校生をメインターゲットとした取組は会社としても初めてだったので、正直はじめは手探り状態でした。エネルギーの問題は難解かつ咀嚼しづらいテーマ。さらにビジネスという視点で考えていただくのはかなり難しいはずなのですが、高校生の皆さんのアイデアに救われた、という思いが強いです。

中野:私達が思いついたことすらないアイデアが多くて目から鱗の連続でした。SNS世代だからか感度が鋭く、驚きの発想が多かったですし、社内からも反響が大きかったですね。私はファイナリストチーム「くまちゃんとリベロ」をサポートで伴走していたのですが、J-POWERのことをもっと知りたいという思いが強く積極的にアプローチいただきました。本当に素晴らしいチームだったなと思います。

金谷:決勝大会での彼女たちのプレゼン時、私も手に汗握ってしまうほど緊張していました。でもプレゼンは本当に素晴らしくて感動しましたね。だからこそなんで「くまちゃんとリベロ」が優勝じゃないんだろう、と悔しくて悔しくて・・・。私と中野だけでなく、当社の役員たちも悔しがっていました。

中野:決勝の後、当社の社長も「くまちゃんとリベロ」の皆さんに直接会ってお礼を伝えたい、ということになり、チームの皆さんには会社まで訪問いただきました。高校生の皆さんの熱気が私たちの会社を動かしてくれたのです。今年もまた、どんな高校生の皆さんとお会いできるのか楽しみですね。

ー社長とも会われたのですね!高校生への様々なサポートをありがとうございます。それでは今年のテーマについてもいろいろ聞いていきたいのですが、改めてJ-POWERがどういう会社なのか教えていただけますか?

金谷:日本には様々なエネルギー会社がありますが、J-POWERは元々国策会社として誕生しました。戦後、日本が復興を果たしていくためには膨大な電気が必要でしたが、その電気を生み出す発電所が不足していたのです。発電所を作り、電力を安定供給していくことは戦後復興のための大きな課題でしたが、当時の民間企業だけではその力が足りませんでした。そこで国として開発が極めて困難な大規模電源(発電所)を作るために誕生したのが私たちJ-POWERです。その後、2004年には上場して完全民営化を果たしています。

中野:そうした起源があるので、私たちは社会的な課題で困難な使命にチャレンジする、というDNAが受け継がれています。ただ私たちが作りだす電気は、皆さんが普段耳にされるエネルギー会社に卸売りという形で販売しており、間接的に皆さんに電気をお届けしているため、J-POWERという社名を聞く機会は少ないかもしれませんね。私たちは他のエネルギー会社とライバルではなく、パートナーのような関係でもあるのです。

ー他のエネルギー会社が自分たちの発電所で作る電力だけではなく、J-POWERから電力を買うのはなぜなのでしょう?

金谷:競争力のある安価な電気を、大量かつ安定的に供給することができるからです。発電所を作るためには、計画から建設、完成まで、長い年月と巨額の投資を必要とするプロジェクトになります。先ほどもお話しした通り、私たちはもともと国策として誕生した企業であり、大規模な発電所を数多く開発・運営してきた結果、コスト競争力のある電気を供給することができます。したがって、他のエネルギー会社自身が作る電気に加えて、私たちの電気を購入していただくことで、結果的に負担を抑えられることになるのです。

J-POWERはなぜ地域社会に注目したのか?

ーでは今年のテーマについて教えてください。社会的で困難な課題に挑むJ-POWERが「地域社会」を舞台に選んだのはなぜでしょうか?

金谷:私たちエネルギー事業者にとって地域社会との共生は非常に重要なテーマだからです。エネルギーを生み出す設備を建てるということは、その土地で何十年と事業を営むことを意味します。その土地で行われている大規模ビジネスの事業者がJ-POWERだけという場合もあり、雇用を含めて経済的な影響力も相対的に大きくなります。だから私たちは地域に対する責任があるし、これまでもその地域や地域住民の皆様に対して貢献していきたいと考え、活動してきました。

ー例えばどのような活動をされていますか?

中野:宮城県に鬼首(おにこうべ)地熱発電所という発電所があります。ここは、温泉や豊かな自然等様々な魅力にあふれた土地である一方で、いかに魅力を発信して人を呼び込むかが地域としての課題でした。鬼首地熱発電所は2017年に運転を停止して設備更新工事を行なっていたのですが、2023年に運転再開する際、主要機器である発電機とタービンに、地域の名産品である「鳴子こけし」を描いたのです。これはメディアでも大きく取り上げていただき、SNSでも拡散され、多くの人の注目が集まる結果となりました。

ーこれは確かに面白いですし話題になりそうですね。

金谷:他にもいろいろな事例があります。例えば「J-POWERふれあいコンサート」というクラシックコンサートを、全国の当社が保有する設備地域周辺で30年以上にわたって継続的に開催しています。その土地で長く暮らしている方々は、クラシックコンサートを生で聞く機会が少ないこともあり、生演奏を聞く経験はすごく貴重な機会で大変嬉しいと、開催後に多くのお声をいただきます。当社が事業を営む地域の皆さまに対し、日頃のご理解、ご協力への感謝の気持ちを示したいと始めた活動です。

中野:少子高齢化が代表的ですが、日本には本当にさまざまな課題があります。地域から若い人がいなくなると、その社会を維持することが難しくなっていく。一方、人口集中している都市部では暮らせはするけど快適といえるのか、についても考えなければならない。自然な成り行きに任せていると、地方も都市部も歪みがでてきてしまいます。そこに対してポジティブなアクションを起こして流れを変えていかないと、当社がエネルギーを生み出し、送り届ける日本社会全体に元気がなくなってしまいます。

ーそうか、地域社会というのはなにも地方に限った話ではなく都市部も含めていいのですね。

金谷:そうですね、確かに電力施設は地方にあることが多いですが、その電気をより多く使うのは都市部ですからね。都市部の方々も、自分たちが住む身近なエリアをどうしていきたいかを考えてみてほしいです。

ー発電所をどこに建てるか、という基準や考え方みたいなのものはあるんですか?

金谷:自然の力がより強く働いている場所、というのは一つの基準になります。例えば水力発電なら水が豊富な所、風力発電なら一定以上の風速で継続的に風が吹くところが合理的です。一方で火力発電は、燃料を海外から輸入する必要もあるので水深が深く大きな船が入れる港がないと難しくなります。

J-POWERテーマの考え方ヒント

ー今回のJ-POWERのテーマを考える場合、日本にこだわった方がいいのでしょうか?

中野:そうですね、今回のテーマは日本を舞台にしていただきたいです。自分が住んでいる地域、自分が将来住みたい日本の地域社会をイメージすると良いかと思います。

ーどこか特定の地域を取り上げた方が考えやすいかもしれませんね。

中野:必ずしも今現在自分が住んでいるところでなくても良いのですが、自分が大切にしたい場所や地域社会の理想図をデザインしてみてください。ただ、審査項目に「社会的影響力」があるので、その地域だけにとどまらず、考えていただいたアイデアをモデル化して他の地域に水平展開できるものだとさらに魅力的だなと思います。

ーありがとうございます。では最後に、J-POWERのテーマに挑む高校生の皆さんにメッセージをお願いします。

中野:今年は10年後の地域社会を自由にデザインする、という皆さんにとって身近なテーマを設定させていただきました。今の自分の生活とも関連しつつ、自由な発想で面白いアイデアが生まれることを期待しています。実現したくなるようなワクワクするアイデアをお待ちしています。

金谷:中野も申し上げた通り、自由な発想で考えてほしいテーマではあるのですが「J-POWERとしてどう取り組むか」という視点も抜けないように考えてください。私たちはエネルギーを生み出し、送り届けるだけではなくて、その地域の一員として一緒に生きていくという思いを持っています。地域にとってのよそ者ではなく、当事者として取り組んでいきたいのです。

中野:高校生の皆さんも自分の周り、自分の暮らしている社会を考えてみてください。自分が大人になって社会に価値を提供する立場になったら自分の住む地域社会をどうしたいか。重苦しく考えずに、気軽に「自分たちだったらこうあってほしい」と考えてチャレンジしてほしいですね。

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