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キャリア甲子園2020ファイナリスト!SKD48インタビュー

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キャリア甲子園2020、決勝大会唯一の公立高校在籍、県立坂戸高等学校の「SKD48」。
毎年、授業としてキャリア甲子園に取り組む坂戸高校は先生の指導もあり、多くのチームを準決勝まで進めてきた。しかし5年連続で準決勝敗退と、決勝大会まであと一歩のところで毎年涙を飲んできた。

そしてついに悲願を果たし2020年度大会で決勝進出したのがSKD48。彼女たちは、どのようにキャリア甲子園を戦ったのか?チーム結成からアイデア着想、そして準決勝後の大幅な方針転換…。

「坂戸高校代表、公立高校代表、バイエル代表」と意気込んで決勝大会を戦ったSKD48の道筋を辿る!
取材:羽田啓一郎 執筆:庄司ゆり(キャリア甲子園運営事務局)

グッパーで偶然生まれたチーム

SKD48を称える垂れ幕が学校に!

羽田:まずはみなさんキャリア甲子園お疲れさまでした!

3人:ありがとうございます!

羽田:3人は学校応募ということで授業で取り組まれたと思うんですけど、チームはどのように決まっていったのですか?

細田:私たちの高校は情報の授業の一環でキャリア甲子園に毎年参加しています。それで授業内で3人組か4人組を作ってって言われたので、私たちが普段仲良くしている6人グループをグッパーで分けた結果この3人になりました(笑)

羽田:(笑)。3人はなぜバイエルのテーマにしたんですか ?

細田:バイエルさんの企業テーマを見て、将来私たちも働く時が来る事を考えると一番身近かつ不安な話題だと思ったのが大きいです。あとは考えるのが難しいテーマだけど、縛りがなかったのでアイデアをいろいろ出しやすいかなと思って選びました。

羽田:なるほど。あとこれも聞かなきゃなと思ってたんですが、皆さんは校内限定アイドルをプレゼンで名乗っていましたが、アイドルなんですか?(笑)

小川:違います(笑) チーム名を決めてと言われた時に30秒ぐらいしかなくて、ぱっと出てきた「SKD48」で出しました。

福島:坂戸高校はよくSKDって略されるんですけど、AKB48とかSKE48と似てるじゃないですか。それでその名前の雰囲気を前面に出した結果アイドルっぽくなりました(笑)

羽田:そうなんですね(笑)。出題テーマがバイエルと決まった後はどんな風に進めていったんですか?

小川:まず最初は社会問題をどんどん列挙しました。それから、バイエルさんのテーマに「生活環境の変化の中で」っていうのがあったので、「コロナウイルスの流行が原因で失業者が生まれてしまうこと」と「保育や介護の領域で人材不足が問題になっていること」を結びつけてみたら、失業者が減って人材不足も減るのではと思って。そんな風に点と点を繋げて考えていきました。

羽田:なるほど。じゃあ全体像を考えたというよりは、1個1個の諸問題をどうやって解決していけばいいかを考えていたら、繋がりを見つけていったという感じですかね?

福島:そうですね !本当に一つ一つアイデアをつなげていって膨らませていきました。

羽田:そこから最終的にプレゼンしてくれた企画に至ったのは大体いつぐらいなんですか?

福島:準決勝後ですね。それまで戦ってきたアイデアを準決勝後にブラッシュアップしました。準決勝大会のフィードバックで実現可能性の低さが問題になってしまったので、そこを改善して最終的に発表した企画になりました。

自信がなかった初めてのプレゼン

プレゼン経験がなかった中、決勝大会では生放送66,000人の前でプレゼン!

羽田:書類審査の段階から順を追ってお聞きしたいんですけど、書類審査に出したアイデアはいつぐらいにできたんですか?

小川:11月です!ギリギリでしたね。

羽田:その頃思い出に残ってるエピソードとかありますか?

細田:私は美術部に入っているんですが、美術部で全国大会に出す絵を描いていたので、それでなかなか打ち合わせに出られなくて喧嘩したんですよ。

福島:違う(笑) 喧嘩なんてしてないよ(笑)

細田:喧嘩は嘘なんですけど、なかなか打ち合わせに集中できなくて申し訳ないな、、と思っていた記憶があります(笑)

福島:書類審査提出締切って結構期末テストも近かったんですよね…。

羽田:そうだったんですね。書類審査の段階で苦労した点ってありますか?

小川:私たちの学校では各チームがみんなクラス内でプレゼンする機会があったんですけど、スライドの内容が30枚くらいあったのにプレゼンの制限時間が5分だったんです。だからみんなよりすごく調整に時間がかかってしまって…。発表原稿とかも時間をかけてぎりぎりまで調整してたので大変でした。

羽田:でもそれで書類審査を通過したんですよね。書類審査を通過した時はどう思ったんですか?

細田:もう飛びました(笑) すごく嬉しかったです!

羽田:そこから年が明けてプレゼンテーション動画審査だったと思うんですけど、その時に苦労したことはありますか?

細田:私たちはプレゼン上、校内アイドル設定なので、最初に掛け声で「みんな~!」って叫ぶんですけど、その声がどうしても出なかったり裏返ったりすることが多かったので、本番も絶対裏返ると思って、前日に柚子茶を飲んで喉のコンディションを良い状態にしました(笑)

羽田:なるほど(笑)。「プレゼンテーション」という機会自体はキャリア甲子園以外で過去にありましたか?

福島:いえ、初めてでした。自分たちなりに一生懸命やったつもりではありましたけど・・・。

羽田:実際、プレゼン動画審査に自信は?

小川:全くなかったですね…。

羽田:じゃあ通った時はどうでした?意外って感じ?

小川:びっくりしました。ちょうど知った時、3人一緒にいたんですけど叫びました(笑)

1から立て直したプレゼン、一か八かの勝負

プレゼンの構成を1から作り直すために要素を全て出力。

羽田:そこから準決勝大会が1ヶ月後でしたが、その間はどんな準備をしていたんですか?

小川:プレゼン動画審査は通過したものの、準決勝大会はさらに競争が激しくなりますよね。坂戸高校はいつもここで負けていたので厳しい戦いなんだろうなと思ってました。それで、私たちのプランは全然内容が詰まっていなかったので、1回動画審査の時のプレゼンの資料を全部印刷して床に並べて、「ここにこれ入れた方がいい」みたいに1から立て直して考えました。

福島:お金の面も結構ざっくりだったので細かくしなきゃいけないなっていうことで、その分野を重点的に調べるのもしました。

羽田:準決勝はオンラインになっちゃったんですけど、オンラインプレゼンで苦労したことってありますか?

細田:初めてZoomを使ったので、もろもろの機材の設定がすごく難しかったです…。

福島:プレゼンの時間が練習でもギリギリで、かつ入りも独特だったのでちゃんできるか不安でした。

羽田:校内でのプレゼンと違うなって感じたところはありますか?

細田:緊張の度合いではクラスでプレゼンした時の方が足がガクガクだったんですけど、Zoomでのプレゼンはそういった緊張があんまりなかったです。

小川:クラスの前でやるとみんなを見ながらやらなきゃいけなかったんですけど、Zoomはカメラを一点集中で見れば良かったので気持ちが軽かったです。

羽田:自分達なりのベストは尽くせた感じですか?

小川:今までで一番良かった気がします!

羽田:おお!勝てると思ってましたか?

細田:全然思ってなかったです(笑)。準決勝大会で見た他のチーム、みんなすごくて。だから選ばれて嬉しかった反面、 自分たちが選ばれてよかったのかなっていう不安もあったんですけど、逆に負けたチームの想いを受け継いでいこうみたいな気持ちもありました。

小川:とにかくびっくりしました。やっぱり私たちは他のチームともプレゼンの感じが違ったので、これがどう評価されるのかは一か八かだなと思っていました。

羽田:選ばれた理由ってバイエルの方に聞きました?

小川:バイエルさんからは「全ての人が恩恵を受ける企画だった」と言っていただきました。

福島:あとは「明るくアイドルチックに楽しそうにやってたからこっちも楽しくプレゼンが見れました」とも(笑)

「とにかく楽しむこと」を意識して挑んだ決勝大会

羽田:決勝大会に向けてはどんな風に取り組んでいたんでしょう?

細田:気持ちの面では「私達は公立高校で他の学校に比べると別に頭がいいわけでもないし、社会情勢に詳しいわけでもないから、一番大事なのは楽しくやることだ」と思ってやっていました。

福島:あとは決勝大会に向けてバイエルさんからいただいたフィードバックから問題点が出てきてしまったので、そこをどう改善していくのかを重点的に話し合いました。

羽田:例えばどんなところが改善ポイントだったんですか?

小川:今までは空き地を活用して1から施設を作ろうと考えていたんですけど、空地の持ち主に交渉するのも含めて、実現しようとするとなると色々課題がわかってきてしまって。課題がわかってるのにそのままいくのは難しいよねってなってしまい…。

福島:このまま進めてもいいのか、それとも「既存の施設を用いたまま今の保育士や介護士の働き方を制度面から変える施策」にしたほうがいいのかの2択になったんです。そして話し合った末、やはり実現可能性の点から制度面に対してアプローチする施策に方針転換することにしました。でも考え直さなきゃいけない部分が結構あったので、放課後も使って進めました。

羽田:そうだったんですね。決勝は無観客のオフラインでやりましたがどうでした?緊張しましたか?

細田:すごい緊張しました(笑) 。これまでとは場の空気感が全然違いました。

小川:他のファイナリストチームを見たら頭の良さが滲み出てて…。初めてちゃんと目の前に人がいるステージでやったのですごく緊張しました。

羽田:ちゃんと堂々と立派にできてたと思うんですけど、裏話があったりするんですか?

小川:今までプレゼンの時間経過をカウントアップで測ってたんですけど、当日はカウントダウンだったので思ってたのと違う感覚で…。結構プレゼンが残ってるのに「あと3分」と表示されてすごく焦りました。あと話す内容を緊張で飛ばしてしまいました(笑)

羽田:他のチームのプレゼンも見たと思うんですけどどう思いました?

福島:準決勝大会以上にみんなレベルが本当に高くて。私たちはプレゼン中、緊張していたんですけど他のチームは周りも見ながらゆっくりプレゼンしてて堂々とした態度とかがすごいなって思って。内容もすごい詰まってて「もうダメだ」って思いました(笑)

学校行事がほぼ無くなった中でのキャリア甲子園

1年間という長い戦いにはさまざまな思い出が

羽田:結果は残念ながら優勝を逃したという感じでしたが、終わってみてどんなことを思いましたか?

小川:自分的には本当に後悔がすごくて…。納得のいく結果だったんですけど、審査員からの質疑応答の時に質問に対して「もっとそこ考えれば出てきたな」と思うこともありましたし、自分たちのプレゼンを見返して「ここもうちょっとゆっくり喋ればよかったな」とも思いました。後からどんどん後悔が出てきました。悔しいです。。

羽田:福島さんと細田さんはどうですか?

細田:私は肩の荷が下りました(笑) あとやり切った感もあって。いい思い出でもあり、得るものが多かった大会だったなとも思いました。

福島:後悔は少しあったんですけど、キャリア甲子園に出てプレゼンができて良かったです。それから、普段の学校の授業ではここまで社会問題を詳しく見ていったり、プレゼンを準備したりする機会があまりないので、いい経験になったなと思います。全体的にすごく楽しかったです。

羽田:何が楽しかったんだと思いますか?

福島:作業もチームみんなでスムーズに楽しくできたし、プレゼンも最後まで喧嘩することなく無事できたからですかね。チームで同じ目標に向かって取り組む活動全部がすごく楽しかったなって。

細田:昨年度は修学旅行とか体育祭も文化祭も、行事がほとんどなかったんですよね…。その中でのキャリア甲子園だったので高校生活で一番の青春を感じました。みんなと殴りあったりすることもあったんですけど。

小川、福島:ないよ(笑)。しれっと嘘つくな(笑)。

細田:(笑)。いろんなことがあったんですけど、夜遅くまでみんなで頑張れたことも含めて高校生活でなかなか味わえない経験だったので、すごく青春感がありました。

キャリア甲子園を通して学んだこと

羽田:キャリア甲子園を通じて学んだことなどはありますか?

小川:初めて社会問題について調べたので得る知識が多かったです。他にもバイエルの方とやり取りをする中で目上の人とのメールの仕方も学びました。あとはタイピングが速くなったり、プレゼンにちょっと慣れたりもしましたね(笑)。社会に出ないと経験できないようなことが高校生のうちにできてすごく良かったです。

細田:社会問題を解決するためには本当にたくさんの考えが必要なんだと実感しました。例えば、保育士の労働環境の改善を考えるときにただ給料を上げればいいわけじゃなくて、伝統的しがらみや人間関係などについても考えないといけないなって。そう考えるとやっぱり大人達って凄いなって思うのと同時に
、自分がまだまだ世間知らずの子供だったことに気づきました。

福島:社会問題を様々な視点から考えられたなと思いますし、今までプレゼンテーションをすることに自信なんて全然なかったんですけど、今回楽しんでプレゼンできたのですごく自信を持てました。また、これまで進路に迷っていたんですけど、社会問題について調べる中でもっとそういうことを詳しく知りたいなと思い、社会学部に行きたいと考えるようになりました。大学に入ったらいろんな人とコミュニケーションをとって、たくさん意見交換をしてみたいです。

羽田:ありがとうございました!今後の皆さんのご活躍に期待しています!

SKD48はその成果を県知事に報告する機会もいただきました。表敬訪問時の写真。

「SKD48」決勝プレゼンフル動画

 

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