キャリア甲子園2016総合優勝、「米ット。」インタビュー!

全国の高校生約2,600人が参加したキャリア甲子園2016。多くのライバルチームとの激戦を勝ち抜き、総合優勝を果たしたのは海陽中等教育学校1年生(当時)の「米ット。」だった。
親元を離れ、全寮制の高校に通いながらキャリア甲子園に挑戦した「米ット。」。彼らのチームワークの秘密に迫った。

(取材・執筆:羽田 啓一郎)
*この記事は2017年5月に取材されました。

 

全寮制の高校、海陽中等教育学校


羽田:改めましてみなさん、キャリア甲子園優勝、おめでとうございます!

山本:ありがとうございます!

羽田:今年は規模も随分大きくなって激戦でしたが、その中で勝ち抜いた皆さんの事を色々聞いてみたいと思います。そもそもキャリア甲子園に出場することへの言い出しっぺは斉藤君ですよね?

斎藤:はい、そうですね。僕です。学校外の活動が何かしたいなと思っていたらネットでたまたまキャリア甲子園を見つけて、面白そうだなって思って。で、去年の夏にキャリア甲子園の説明会に参加して、「頑張って優勝しよう」と思ったんです。

羽田:他の皆さんは斉藤君に誘われて出ようと思ったのだと思いますが、それぞれ何で出ようと思ったんですか?

山本:僕は単純に面白そうだなって思ったからですね。まさか優勝するとはその時は思ってませんでした(笑)。

工藤:理系って、数学オリンピックとか科学の甲子園とか色々コンテストがあると思うんですが、文系ってあまりないですよね。だからキャリア甲子園なら文系の僕でも活躍できるんじゃないかって。あと、やっぱり自分のスキルアップ、将来のためにプラスになるだろうなって。

江澤:やっぱり斉藤に誘われたら断れないですよね。人徳でしょうか。

斎藤:あと全員、やっぱり優勝したらもらえる海外ツアー券はでかかったと思いますよ(笑)。優勝したらどこ行こうかってずっと話してましたから。

羽田:なるほどなるほど。みなさんは同じ海陽中等教育学校の生徒ということですが、海陽高校ってどんな高校なんですか?

江澤:全寮制で、一言でお伝えすると次世代のリーダーを育成する高校ですね。

斎藤:一番の特徴は、フロアマスターって呼ばれる企業から出向している社会人の皆さんが、僕たちの寮生活をサポートしてくれる事ですね。キャリア甲子園のアドバイスもしてもらったりしてたんです

山本:全寮制であまり外出できないので、海陽ならではの個性とか雰囲気みたいなのはありますよね。特にキャリア甲子園みたいに他校の高校生と交流すると、それをよく感じます。

工藤:外出以外にも、ケータイやSNSも禁止だったりします。多分、それを聞くと多くの人は驚くと思うんですけど、行事が多いので結構忙しいんですよ。ケータイ禁止だから本を読む時間も多くなるし、周りに言われるほど辛くないです(笑)。でも何より、全寮制で6年間ともに過ごす仲間は絶対に一生の財産になると思ってます。

羽田:確かにキャリア甲子園の時も、独特の一体感が皆さんありましたもんね。ちなみに、どうしてバイエルにしたんですか? 農業に興味があった?

 

キャリア甲子園優勝までの道のり

決勝前日の様子。準決勝で戦った他のチームの想いも背負って米ット。は戦う!

斎藤:バイエルさんには申し訳ないんですが、5つの企業で唯一知らない会社がバイエルでした……。でも逆にチャンスだと思ったんですよね。調べていくとめちゃくちゃすごい会社だってわかりましたが。

工藤:あと、農業というテーマが僕達にはあまり身近じゃないのも大きかったですね。TPPとかニュースなんかでは見てましたが、自分から調べるってことはなかった。でも調べていくうちに、食品ロスや飢餓人口なんかの問題の深刻さがわかってきて、解決法を考えることにどんどんハマっていきました。

斎藤:奇抜で独創的なアイデアに頼らないで勝負できそうだったってのもあったよね。

山本:そう、テーマの「堅さ」がちょうどよかった。他のテーマは、何となくアイデアが奇抜なものが受けそうでしたが、バイエルのテーマは数字やデータもしっかりありそうでしたし、その方が僕らには合ってるんじゃないかって。

羽田:なるほど。ちなみに、チームの中の役割分担ってあったんですか?

斎藤:何となくですが、ありました。山本は原稿やパワポ作成を完全に引き受けてくれてましたね。あとはプレゼン時の質疑応答もすごかった。頭良すぎですよ、こいつは。

山本:イヤイヤ、アイデアの方向性は全員で決めましたし、僕はそれを形にしただけです。試算立てるのとかは江澤が頑張ってくれましたね。海運系の会社に電話して資料もらってひたすら計算して……。すごい根気がいる仕事だと思います。

江澤:工藤は資料作成ですね。文章書いたりまとめたりするのが彼はめちゃめちゃ上手いんです。

工藤:そして斉藤はやっぱりリーダーとしてみんなをまとめてくれましたね。一回、チーム分裂の危機があったんですよ。それも斉藤がうまくまとめてくれて。

羽田:え、そうなんですか?

斎藤:あー、ありましたね……。みんな、キャリア甲子園以外も忙しかったんです。生徒会とか文化祭、体育祭や校外活動……。で、みんなで集まれる時間もなかなか取れなくて、それぞれ個別でやるべきことをやって行こうってなったんですが、それがうまくいかなかったんですよね。僕も悪いところは勿論たくさんあるんですけど、ちょっとそれでチーム分裂の危機みたいになりまして……。

羽田:それを斉藤君がまとめたんですか?

斎藤:いや、僕がしたのはまとめたというよりみんなの言い分を聞いて、仲介したってだけですよ。結局、みんなのキャリア甲子園に対する想いが強かったので、確かに揉めましたが、目指すべき方向は一緒だったのですぐ仲直りしました。でも、揉めたからこそ結束が強くなった気がします。

羽田:キャリア甲子園は決勝まで長いですからね……。確かに他の活動が忙しくて空中分解するチームはあるので、いかに両立できるか、マネジメントできるかもポイントだと思います。さて、最初の関門の書類審査は自信ありました?

江澤:比較的自信はありましたね。

工藤:(深く頷く)

羽田:自信満々だった、と。じゃあ次のプレゼン動画審査は?

斎藤:あ、僕はここはあんま自信なかったです。バイエルについてほとんど触れてなかったので、これで通るのかなあって。アイデア自体は自信あったんですけど。

江澤:プレゼン審査あたりからちょっと厳しくなってきたかなーって感じですかねぇ……。

山本:プレゼンの練習があまりできなかったから不安でしたね。だから、通った時はすごく嬉しかったです。

工藤:みんな自信なかったのか(笑)。僕は自信満々でしたよ。旅行どこ行く? って話ばかりしてた気がします。

羽田:工藤君だけ楽観視してた、と(笑)。さて次は準決勝。東京で企業の前で実際にプレゼンする機会なわけですが、これはさすがにきつかったんじゃないですか?

斎藤:ここが一番きつかったですね。正直、決勝より緊張しました。

江澤:確かに。他のチームがすごくて……。感銘受けてました(笑)。

工藤:んー。僕は7割方大丈夫だと思ってたんですけどね。旅行どうしよっかなって考えてました。

羽田:工藤君はとりあえず大物なんですね。

工藤:でも、隣で山本が「もうダメだ、終わった、落ちた」ってずっと落ち込んでて。それ見てたら僕まで不安になりましたよ。

斎藤:山本、落ち込んでたね。「もう無理だ」ってずっと言ってた(笑)。だから「俺、今年運いいから大丈夫だって」って言って励ましてました。

山本:いや、準決勝は万全の準備で「絶対勝つぞ」って臨んだんですよ。でも、さすが準決勝だなって。どのチームもすごくて、全然自信ありませんでした。だから、バイエルの方が代表チーム発表する時に「米ット。」って呼んでもらった時はやばかったです。一番、緊張から解放された瞬間でした。

斎藤:でも僕ら、勝ち名乗りを頂いた時に無反応だったみたいで。バイエルの人から後で「嬉しくなかったの?」って聞かれちゃいました。他企業の代表チームがすっごく喜んでたので、俺らはクールに行こうって思っただけなんですけど。

工藤:嬉しくないはずがないです!

羽田:確かに「米ット。」はリアクション薄かった記憶があるなぁ。さあ、そして決勝戦。緊張しました?

江澤:やー、実はそこまで……。準決勝の時の方が緊張しましたからねぇ。

羽田:あ、そうなんだ。

工藤:みんな決勝ではあまり緊張してなかったと思いますよ。ただ、ニコ生のコメントは結構気になりましたね(笑)。

山本:僕は全国放送されるからワクワクしてましたね。緊張はそれなりにしましたしコメントも気になりましたけど、本番はハプニングもなく終えられたのでよかったです。

斎藤:僕は、決勝はもう、優勝を確信してました。絶対大丈夫だって。学校の先輩とか会場まで見にきてくれてて、それで緊張もしなかったです。ただ、唯一後悔してることがあって……。

羽田:ほお。なんでしょう?

斎藤:優勝した時もうまくリアクションとれなかったんですよ。もうちょっと喜べばよかった。あとからいろんな人から「高校生らしくない」って言われちゃいました……。

 

高校を退学し、海外の高校へ。そして、キャリア甲子園で得たこと。

 

決勝戦後の記念撮影。この半年で経験した事を糧に、全員がもう既に次のステージに進んでいる。

 

羽田:「米ット。」はリアクションはあまり得意じゃないんですね(笑)。さて、ところで斉藤君は高校を辞めて海外の高校に行くんですよね?

斎藤:そうですね。4月から、UWCという留学支援制度を使ってイギリスの高校に通います。世界中の高校から学生が集まってきていて、やっぱりここも寮生活で学ぶインターナショナルスクールです。

羽田:なんで海外の高校に行こうと思ったんですか?

斎藤:やっぱり海外の学校でいろんな価値観に触れたかったからです。IB(国際バカロエア)と呼ばれるカリキュラムで、とても魅力的だった。キャリア甲子園と同時並行で試験の準備をしてました。

羽田:なるほど。結果的に、キャリア甲子園は日本の高校生活最後の思い出になったわけですが、最後だから頑張ろうって気持ちってありました?

斎藤:もちろんそれはありました。留学できるって知ったのが、ちょうどプレゼン動画審査の後で、チームとしてもここから一気にモチベーションが加速しましたし、ここまで頑張ってきたみんなと最後に勝ちたいって思って。留学行く前に一つ、でっかいことを成し遂げてやりたいって思ってましたね。だから、3月の最後に、みんなと一緒に優勝できて本当にうれしかったです。

羽田:いやあ、いい話だなぁ。さて、それでは最後に、皆さんがキャリア甲子園で得たこと、学んだことがあれば教えてください。

斎藤:今回はチーム戦でしたが、これを一人でやれと言われたら絶対無理でした。しかも、いつも周りにこんな優秀な仲間がいるとは限らない。だから、自分一人で戦うときは何が足りないのか、と考えさせられましたね。

山本:まず、メンタルは相当強くなりました。1万人以上の人が見ていて、しかもニコ生特有の強烈なコメントの中でプレゼンできたのは大きいと思います。あと僕は、チームで協調して何かを作り上げるというのが本来は苦手でしたが、キャリア甲子園を通じてチーム戦の楽しさがわかるようになりましたね。

江澤:やっぱり多角的な視点、考え方、そしてアウトプットの仕方ですね。これまではあまり意識したことなかったのですが、すぐに答えを出すんじゃなくて様々な視点から物事を検証して行く感覚は養えたんじゃないかと思います。

工藤:ゼロから一つのものを作り上げることはやはり大変だなと知りました。そして何より、自分の考えていることをどうやったら最大限相手に伝えられるか、これも工夫が必要だと改めて実感しました。

羽田:でもそれぞれ何かをつかんでいただけたなら主催者としては嬉しい限りです。今日はありがとうございました。これからも頑張ってください!

 

「米ット。」決勝プレゼンフル動画