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ミツカン テーマ解説インタビュー

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前回大会では視聴者賞受賞チームを輩出したミツカン。「Beyond Decade」をテーマにした第10回大会でミツカンがテーマに設定したのは“今後10年の日本の「食」の変化を予測した新ビジネス”。昨年度チームとはアイデア具現化に向けた検討も始めたミツカンに、第10回大会出題テーマの意図をインタビューした。(取材:羽田啓一郎)

お話を伺った方

吉岡 真優さん

高校の進路選択の際、なりたい職業が明確になっておらず、選択肢が広く持てるようにと文学部を選択。大学入学後、教育心理学を専攻した。その後、「性別国籍関係なくさまざまな人を幸せにできる仕事」を軸に就職活動をする中で、食品業界、その中でも、そのまま飲んだり食べたりせず、誰かの一手間が加わって成り立つ調味料を作る企業に魅力を感じ、ミツカンに入社。営業の仕事を経験した後、現在はメディアやマーケティング関連の仕事に従事している。

商品実用化プロジェクトも動き出した、高校生のアイデア

ー昨年、ミツカンが選んだミツカン代表チームは視聴者賞を受賞しました。実際、高校生の提案を受けて、どのような感触を得られましたか?

私たちは昨年、初めてマイナビキャリア甲子園に参加したのですが、思っていた以上の新しい視点のアイデアがたくさんありました。正直、想像以上のレベルの高さに驚いています。

ー最終的に、ながったらーというチームをミツカン代表チームとして選抜されましたが、どのような理由で選んだのですか?

他にもいいチームがたくさんあったので本当に悩みました。昨年のテーマは「半径1m以内の幸せを定義した新ビジネス」というものだったのですが、各チーム自分たちにとっての幸せの解釈が異なっていて甲乙つけがたいものでした。その中で、ながったらーは「半径1mの幸せ」の解釈のみにとどまらず、どういう時に必要とされるのか、という一歩進んだ視点まで提案をしてくれたことが一番の決め手でしたね。

ー決勝大会に向けて、ミツカンはどのようなサポートをしたのですか?

週1,2回程度、彼らの放課後の時間帯にミーティングをしていました。私だけでなく、商品開発の担当者にも同席してもらって一緒にサポートしていきました。ながったらーのみなさんは自分たちが今まで考えたアイデアに対する想いが本当に強かったので、ミツカンとしてのアイデアを出すのではなく、彼らの思いをどのように実現させていくかをお手伝いするということだけに徹しました。結果、決勝大会のプレゼンテーションで視聴者賞をいただくことができたのはとても感激しましたね。視聴者賞は一般消費者の皆さんに評価いただいたということ。私たちの商品は消費者の皆さまに届けたいものなので、ある意味優勝よりも価値のある賞だったと思っています。

ー大会終了後、ながったらーのアイデアを実用化できるかの検証を始めたと聞いています。

はい、まだ始まったばかりでどうなるかはわかりませんが、実用化プロジェクトが動き始めています。彼らのアイデアは社内ではなかなか出てこないアイデアで社会的にも意味があるものですが、実際に商品としてお客様にご提供するにはまだまだ課題もあります。なので、ながったらーの皆さまやながったらーが所属する兵庫県立長田高等学校にも協力してもらい、まずは「アイデアを形にしてみること」を目的に、ぽん鍋のゆずれない部分等を確認しながら検証を進めているところです。

60年間愛されてきた味ぽんはどう変わってきたのか

ーでは今年のテーマについて色々お聞きしたいのですが、テーマを設定された背景を教えてください。

ミツカンの看板商品、味ぽんは今年60周年を迎えます。ここから先、更に10年20年とお客様に愛される商品であるためには、世の中の変化を捉えながら味ぽんができることは何かを探っていく必要があるのです。そこでマイナビキャリア甲子園に参加される高校生の皆さんにも今後10年の食の変化を一緒に考えていただこうと思い、テーマとして設定させていただきました。

ーそれだけ長い間消費者に愛されている商品も珍しいと思うのですが、ここまでの歴史の中で変わらなかったこと、変えなかったことはありますか?

味ぽんは、どういう時代にあっても人に寄り添う存在であるということでしょうか。味ぽんは調味料であり、一番目立ちたいというわけではなく陰ながら支える縁の下の力持ちでありたいなと考えています。

ー逆に、変わったことはありますか?

テレビCMなどのプロモーションの際、味ぽんを使うメニューやシチュエーションを表現しているのですが、時代の変化に合わせて変えています。昔は、水炊きの調味料として家族団欒の鍋料理をよく登場させていましたが、今は共働き世帯も増え、調理に時間をかけられない夫婦のためのメニューをご提案しています。実は味も少しずつ変わっているんですよ。今の味に至るまでに約10年かけて6回に分けて味の変更を行いました。味ぽんを好きなお客様は味の変化にも敏感なので、みなさんに違和感なく受け入れて頂くために、時間をかけて少しずつ変更しました。味ぽんを愛してくださっているお客様のためにも大切にしなければならない味は守りつつ、減塩など世の中のニーズを捉えて商品自体に手を加えることもあります。

ー今回のテーマ設定の「食の変化」をどう捉えるかがキーポイントになりそうですね。

そうですね。過去の10年間を見ても、予測できる変化もあれば新型コロナウイルスのようなできない変化もありました。味ぽんはこれまで、食卓を家族団欒の場として捉えてきましたが、これからは家族だけではなく、自分一人の時間もお手伝いしたい。家族だけのものではなく食の楽しみ自体を支えていきたいと思っています。

ーここ最近で何か変えられたことはありますか?

最近の大きな変更は、味ぽんの容器を瓶ではなく、ペットボトル状のものに変えたことでしょうか。私たちは60年間、アンケートやインタビューを通してお客様の声をいただいているのですが、その中でよくいただく声に「瓶の容器を変えて欲しい」というものがありました。瓶は重いし、割れるリスクもある。小さいお子様が持つと誤って落としてしまうこともあります。以前からその声は多くあったのですが、環境への配慮はもちろんのこと、使いやすさ、例えばラベルの剥がしやすさなど、「お客様に満足いただけるかどうか」という視点にこだわって検討しました。

ー容器をペットボトルに変えることはそんなに大変なのですか?

ただ単にペットボトルにすればいいというわけではなく、環境にやさしいペットボトルにこだわりたかったのです。ボトルtoボトルという考え方があるのですが、ペットボトルはリサイクルすることができる素材なのですが、一度他のものにリサイクルすると再びペットボトルに戻すことは難しいです。だから私たちはペットボトルからペットボトルへリサイクルすることにこだわって商品化を進めてきました。

ミツカン攻略のポイントとは?

ー消費者側からは見えない考えや苦労があることがわかりました。それではミツカンのテーマに挑戦する高校生へのヒントをいただきたいのですが、今回のテーマは「日本」に限定した方がいいのでしょうか?

そうですね、味ぽんはグローバル展開もしていますが、今回皆さんに考えていただくのは日本の食の変化に限定したいと思います。ただ、テーマの中に含まれている「生活を豊かに」の「豊か」はミツカンでは定義しないので、高校生の皆さんが自由に定義してみてください。一言で「豊か」といっても物理的な豊かさ、精神的な豊かさ、色々あるはずです。

ー確かに「豊かさ」をどう定義するかが大切そうですね。対象を絞ってもいいですか?例えば“高校生”や“高齢者”など。

そうですね、「豊かさ」の定義をする際に誰にとっての豊かさを考えることは大切だと思います。誰かにとっての豊かさにつながるのであれば、挑戦的なアイデアでも問題ないですよ。例えば、味ぽんのフレーバーを変えていただくといったアイデアなども歓迎します。

ーありがとうございます。それでは最後に、ミツカンのテーマに挑戦する高校生にメッセージをお願いします。

やはり時代の変化をどう仮説立てしていくかが重要なのではないかなと思います。色々な立場の人の話を聞きながら楽しんで未来を想像してほしいです。皆さん自身が楽しみながら考えてくれたアイデアは、やはり私たちにも伝わります。予測できない未来の変化をワクワクしながら考えて、素敵なアイデアをお待ちしています。

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