Contents
第11回マイナビキャリア甲子園に初めて参加するロッテ。ロッテのお菓子を食べたことがない日本人は少ないだろう。そんな誰もが知るロッテが今回テーマとして出題したのは「チョコレート」。ガーナチョコレート、パイの実、コアラのマーチ等、非常に身近なチョコレート製品が多くあるが、お話を聞くと普段は意識していない魅力があることに気付かされた。(取材執筆:羽田啓一郎)
お話を伺った方
中村 準さん
高校1年生の時、漠然と「誰にでもできることじゃなくて自分にしかできないことがしたい!」と、新たな食品を生み出す仕事を目指し理系の農学部に進学。その後大学院まで進む。
もともと人を喜ばせたり笑わせたりすることが好きで、老若男女を笑顔にできるお菓子メーカーが良いと考えロッテに就職。研究職や商品開発の部署を経て、現在マーケティングの仕事を担当。
ロッテのテーマ出題の意図
ー今日はよろしくお願いします。今年度、初めてマイナビキャリア甲子園に参加いただきました。どうして今回、マイナビキャリア甲子園にテーマを出題しようと思ったのですか?
中村:こちらこそよろしくお願いします。マイナビキャリア甲子園に参加した理由はとてもシンプルで、これからの未来を支える高校生が、お菓子やチョコレートをどう考えるか知りたいと思ったからです。私たちの仕事は新しいチョコレートを作り、商品を通してチョコレートの価値を社会に発信していくことです。高校生の皆さんのアイデアから、私たちも学ばせていただこうと思ったのです。
ーしかしロッテというと誰もが知るお菓子メーカーだと思います。すでに多くの方に支持されているのに、どうして新しいアイデアを求めるのですか?
中村:有難いことに、当社の主力事業であるチョコレートは2024年に60周年を迎え、多くのお客様にご支持いただいています。だからといって同じままでいていいはずがありません。社会環境の変化のスピードは本当に激しく、「ウェルビーイング」「為替の変動」「カカオ豆の高騰」「2030年問題」等さまざまな社会問題が叫ばれている中、どう社会と、生活者と向き合っていくべきか。こうした問題を考えるタイミングにきていると感じています。
ー社会の変化は本当に激しいですよね・・・。若者の文化や行動習慣も変わってきています。
中村:そうですね、マイナビキャリア甲子園に出場される高校生世代の消費活動も変わってきています。例えば最近は10代の子中心に“推し購入”、すなわち好きなキャラクターやタレントが載っている商品を好んで購入するという消費行動が流行っています。またバレンタインデーの習慣も変わっています。以前は好きな異性に本命チョコを渡す、という習慣でしたが、今はもっとライトにチョコレートを楽しむ日に変わっています。人とのコミュニケーションの媒介としてチョコレートが使われているのです。
ーチョコレートを食べて楽しむだけでなく、コミュニケーションのツールとしても使われている、と。
中村:そうですね。他にも色々ありますよ。例えば板チョコを2枚重ねてハートマークを作って写真を撮る、というのもあるようです。これはチョコレートを使って自分をデコレートしている、ということのようなんです。面白いですよね。
“チョコレート”の定義がマイナビキャリア甲子園のポイント?
ーそれでは今回のテーマについても聞いていきたいのですが、テーマにもある「チョコレートをキーワードにした」が重要そうですね。チョコレートとは何か、という定義づけが大切だと感じます。
中村:そうですね、そこは高校生の皆さんが自分たちの感覚で自由に解釈してほしいなと思います。ただ私たちは、チョコレートにはさまざまな魅力があると考えています。チョコレートは、あらゆる商材の中でも一番人を幸せにする食品だと思っています。例えばロッテではガムも販売していますが、ガムはリフレッシュや歯のメンテナンスなど“機能”としての魅力があります。一方チョコレートは情緒的で言葉にできない幸せを生むのです。チョコレートを食べると、皆さんも美味しくて幸せな気持ちになりませんか?ああいう感覚・感情になる食品って、他にないんじゃないかなと。
ー言われてみれば確かにそうですね・・・!甘いという感覚が幸せ感情を呼び起こすのでしょうか。
中村:そう、そこをもう少し科学的に分析していきたいんです。今年、ロッテのチョコレート事業は60周年を迎え、ロッテのチョコレートが世の中に存在する意義をこの先もっと高めるために「ちょこっと幸せ研究所(https://www.lotte.co.jp/corporate/chocotto/)」を2024年2月に設立しました。さまざまな有識者や同じ志を持つメーカーさんとも協業してチョコレートの価値をもっと高めていきたいと思っています。
ーチョコレートの効能を科学的に解析しようというのは面白いですね。
中村:そうですよね。最近の調査で面白いと感じたのが、「値上げしたとしても買いたいもの」として、お菓子の中でチョコレートがダントツに高いという結果があったんです。チョコレートは嗜好品だと思われる方も多いかもしれませんが、値段が高くなったとしても心を癒してくれる必需品、と考えている方が実は多いというわけです。
また、世界の国々の幸福度ランキングというのがありますが、幸福度上位の国はチョコレートの消費量が多いという結果が出ています。残念ながら日本は幸福度ランキングが低いのですが、実はチョコレートの消費量も少ない。チョコレートと幸せの相関関係がもしかするとあるのかもしれない…というのは気になるところです。この辺りは、解説動画の中で詳しく語っているのでぜひご覧ください(8月後半頃アップ予定)。
ロッテの企業姿勢と、テーマへの取り組み方のヒント
ーありがとうございます。今回のマイナビキャリア甲子園でも「〇〇味のチョコレート」などのフレーバーのアイデアではなく、チョコレートの定義やチョコレートを使って「幸せ」を増幅させるようなアイデアがよさそうですよね。では高校生が考える上でのヒントになると思うので、ロッテのお菓子作りで大切にしていることを教えてください。
中村:私たちロッテがいつも大事にしている三つの言葉があります。ユーザーオリエンテッド(消費者起点)、オリジナリティ、そしてクオリティ、です。私たちはお菓子を作る際、最高の原料、製法で作っているかどうか、そこを起点に考えています。そしてどんなに優れた製法で作っていても、メーカー目線でやってしまうとお客様に支持されなくなる。だから生活者の流行や消費行動は常にリサーチしています。また最近、カカオ豆の高騰などもニュースになっていますね。生産量の問題で、チョコレートを作るのが難しくなっているのです。だからこそ私たちロッテは消費者だけではなく生産者のことも考えなくてはなりません。サステナビリティにも貢献した活動をしています。
ーサステナビリティへの貢献活動は例えばどのようなものがありますか?
中村:ロッテの展開している各ブランドならではの貢献活動をしています。例えばガーナチョコレートではハッピーサイクルウィズガーナという取り組みを通じた生産国支援、コアラのマーチではコアラ・オーストラリア基金と通じたコアラの保護などにも力を入れています。
ーそうした企業姿勢が、移り変わりの激しい現代社会で60年も支持されるブランドの秘密かもしれませんね。
中村:お菓子は新しいもの好きな人が多いカテゴリーなので、日々さまざまな商品が登場しますし、ロッテもどんどん新商品を出しています。スーパーマーケットやコンビニエンスストアに行くとわかりますが、次々と新しい商品が日々出ていますよね。そのような中で長年お客様に愛されるブランドがあることは私たちの誇りです。
ー最後に、高校生の皆さんにメッセージをお願いします。
中村:コロナが明けて世の中が開放的になっています。でも政治、経済はまだまだ先行き不透明ですし、日本はもちろん、世界にもさまざまな課題があります。だからこそ、ロッテのチョコレートにはまだまだできることがあるはずです。皆さんにも自由に考えてほしいのですが、一つお願いです。ぜひ、楽しみながら取り組んでください。先ほどもお話ししましたが、チョコレートは幸せを作るお菓子。チームの皆さんとわくわくを大切に、チョコレートを食べ楽しみながら、取り組んでください!