大塚製薬インタビュー:「0から1のBreakthrough」カロリーメイトが創った新しい世界

キャリア甲子園には、みなさんにテーマを出して一緒に未来を創造する「テーマ協賛企業」のほかに、その企業ならではの方法でキャリア甲子園への挑戦をサポートしてくれる「サポート協賛企業」という心強い協力者がいる。
そうしたサポート協賛企業のひとつ、大塚製薬のカロリーメイト担当者に、キャリア甲子園2020のテーマ「Breakthrough」にちなんで、壁を打ち破るために必要なことは何か聞いてみた。
発売当時に「栄養食」という新しい概念を根付かせた、カロリーメイトの戦略とはどんなものだったのか? みなさんの挑戦に役立つヒントを拾い上げてほしい。

ルーツは2つ。コンセプトは1つ

―まずはカロリーメイトの開発経緯を教えてもらえますか。

カロリーメイトは、現在、ドリンクタイプのリキッド、固形タイプのブロック、そしてゼリーの3種類ありますが、最初に発売したのはリキッドとブロックの2つ。この2つは1983年に同時に発売したのですが、実は開発のルーツは異なりました。

リキッドは、医療用の濃厚流動食「ハイネックス-R」を元に、健康な方への栄養補助を目的として応用開発したものになります。
ハイネックス-Rは、消化器官が万全でなく通常の食事が摂れない入院患者さんのために開発されました。点滴ではなく、口から栄養を摂れる環境を整えることで退院や社会復帰を早めたい、そして、口から食事を摂る喜びを感じてもらいたいという想いがこめられました。

当時の日本はインスタント食品の増加や食の欧米化が進み、栄養面の課題が増加する傾向にありました。そこで、医療現場で実績のあるハイネックス-Rの栄養を、一般の方にも手軽に摂っていただけるように開発したのが、「カロリーメイト リキッド」です。

―ブロックの開発経緯はどのようなものだったのでしょうか?

朝食は起床後の体と頭をスムーズに目覚めさせる、非常に大切な役割を担う食事です。
一方で、当時の開発者は、後に社会問題となる朝食欠食や孤食の兆候にいち早く気づいていました。そこで、「いつでもどこでもだれにでも食べられる朝食を作ろう」と考え、「カロリーメイト ブロック」の開発がスタートしました。

開発ルーツは異なりますが、点滴に変わる栄養補助も、朝食が摂れない時の手軽な食事も「栄養バランス」が重要なのは同じです。どちらも健康の維持増進のために、身体に必要な五大栄養素がバランスよく含まれた食品として、「カロリーメイト」ブランドとして発売したのです。
そういった経緯があるので、同じブランドでも、リキッドは栄養が摂れない時の栄養補助、ブロックは食事が摂れない時の食事代替、と、担っている役割は少し違います。

製品だけではなかった、新しく作ったもの

―どちらも未来を予測して開発したということですが、売れる見込みについてはどう捉えていましたか?

カロリーメイトは、それまでにない全く新しい食品だったため、「コンセプトを理解してもらえないと売れない」と考えていました。

カロリーメイトは、日常的に食べ続けられる味にこだわって開発されています。しかし、当時の日本は、飲料であれば甘いジュース、固形であれば甘いお菓子が中心の市場です。五大栄養素をバランスよく含むカロリーメイトの味は、すぐに受け入れてもらえるものではなかったのです。
そこで、開発背景やコンセプトを理解してもらうことが、必要だと考え、「頭で食べる食品」として、バランス栄養食のことを理解してもらう活動に力を入れました。

―「頭で食べる食品」として、どのようなマーケティングを行ったのでしょうか?

パッケージの裏面に書いてある「栄養調整食品」という表示ですが、これはカロリーメイトが発売されるときに初めて作られたカテゴリー名称です。

カロリーメイト発売前は、固形だったら菓子、飲み物だったら飲料というカテゴリーしか当てはまるものはありませんでした。
大塚製薬が伝えたいのは、「ハイネックス-R」のように、病院でも使われるプロスペックの栄養が手軽に摂れるということです。また、菓子や飲料のカテゴリーではバランスの良い栄養というメッセージ性が弱まってしまいます。そこで、コンセプトを広めるために、保健所と数ヶ月に渡る交渉の末「栄養調整食品」というカテゴリーを作りました。

実際に、開発背景やコンセプトを分かったうえで食べていただくと、「カロリーメイトっておいしいよね」と、味に対する評価も変わっていきました。

発売から37年。一貫した活動を実施

―コンセプトを伝えるというのは、大きく広告宣伝などをおこなったのでしょうか?

広告も展開しましたが、特徴的なこととしては、カロリーメイトの専門の社員を全国に200名配置し、どのような製品なのかを広める活動を行いました。彼らは8mmビデオの映写機を持ち、様々なところへ行き、栄養の大切さやカロリーメイトについての説明をしてまわりました。

発売当時は「試合の前日はかつ丼」の時代で、スポーツ栄養の概念があまりなかったので、最初はアスリート向けに栄養の大事さを訴求しました。バランスよく栄養を摂ることがしっかりとしたパフォーマンスにつながると伝え、バランス栄養の大切さを浸透させていったのです。

カロリーメイトに対する需要が急激に高まったのは、ダイエットブームのときです。何も食べないダイエットでは、体重は落ちますが体調を崩してしまうリスクもあります。そういった栄養課題に対して、「五大栄養素をバランスよく摂りながら、カロリー計算もしやすい食品」としてコンセプトのさらなる浸透につながりました。
発売が1983年で、ヒットしたのが1994年ごろなので、それまでに10年もかかりました。

―10年という年月は想定されていたのでしょうか?

想定できない長さでした。ただ、それでもバランス栄養食はこれからの社会で必ず必要になるという想いや信念は変わりませんでした。大塚製薬は長い年月をかけて製品開発を行いますので、その製品を信じ、諦めないのです。

必ずその時代時代の社会背景に対する栄養課題があります。絶対に世の中に必要だと考えて、諦めないで伝え続けることに専念しました。そういった活動の延長として、カロリーメイトに対しての信頼につながり、今では親から子へ、コーチから選手へと伝わっているのかなと思います。

―コンセプトが浸透してからはずっと順調にきたのでしょうか?

携帯食や行動食として訴求していた時期はなかなかうまくいきませんでした。

確かにカロリーメイトはそういった使われ方をしている面もあるのですが、携帯しやすい食品や、時間がないときの食事といった訴求では、カロリーメイトでなくても代わりがあります。

そこで改めて開発当時の想いを紐解いて、「なぜ作ったのか、今ある栄養課題に対して何ができるのか」考え直しました。そして、本来伝えるべきだった「バランス栄養食」というコンセプトに立ち返ることで、再びカロリーメイトは成長できたのです。

長く続くものには、なぜ生まれてきたのかがすごく重要で、過去を知らずに新しいことをやってもうまくいかないのかなと思います。

世の中を変えるのは、強い想いと創造性

―そうして新しいものを生み出し定着させたカロリーメイトですが、大切にしている考え方はなにかありますか?

大塚製薬は、企業理念として「世界の人々の健康に貢献する」という想いをもって活動しています。健康とは何かと考えたときに「病気からの回復と、健康の維持増進」という2つが大事だと考えています。
その両輪で事業を展開しているからこそ、病気を治す医薬品と、健康をサポートするポカリスエットやカロリーメイトがあります。

また、会社として「モノマネをしない」という考えを持っています。会社からは「隅から隅まで創造性」ということを学びました。
世の中にないもので、この先絶対必要になってくるもの、そのうえで大塚製薬にしかできないものという考えで製品を開発しています。

―最後にキャリア甲子園に取り組む学生に向かってメッセージをお願いします。

新しいものを生み出すのは苦しいことだと思います。
モノマネをして、今すでにあるものを少し変えるのは簡単ですし、「こっちのほうが良いですよ」と伝えれば簡単に売れると思います。ですが、それでは長く続かず、ほかでも真似できてしまいます。

しかし、これが絶対に必要だと考え抜き、そして自分たちにしかできないものを生み出せれば、それはなかなか真似できるものではありません。

新しく生み出すことはすごく苦しいと思いますが、何か新しいものができたときの喜びや、それをみんなに広めたいという嬉しさや楽しさには、モノマネでは感じられないものがあると、カロリーメイト担当として感じています。

キャリア甲子園は、そういう喜びを感じられる場だと思いますので、自分たちならではの「新しいものを生み出して、世の中を変えるんだ」という意気込みで取り組んでください。応援しています。

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