キャリア甲子園2021の大会テーマ「Re:creation」。企業・ビジネスの本質を捉え、新しいアイデアを生み出していくことが求められている。
では企業の価値とはどのように生まれてくるのだろうか?世界中で長く愛されている商品、企業には、一体どんな秘密があるのだろうか?
キャリア甲子園2021で、高校生サポート協賛として大会全体をサポートいただいているロクシタンジャポン(株)に、企業の「ブランド」について話を聞いてきた。「強いブランドを持つ企業」をヒントに、キャリア甲子園2021に役立ててほしい。

お話を伺った方

ロクシタンジャポン株式会社
人事総務部 HR Development アシスタントマネージャー 酒井 祐史さん

幼少期にイギリスに住んでいたことから海外と接点のある学問を志望し、大学では言語学を専攻。世の中の売れる商品のキャッチコピーはどうしてこんなに人の心に響くのか、ということに興味を持ち、言語の成り立ち、特に音韻論を学ぶ。大学卒業後、大手レジャー産業でホテルの仕事に就く。その後アパレル企業を経てロクシタンに入社。一貫して人事の仕事をしてきている。

ロクシタンジャポン株式会社
営業本部 アトレ上野店 杉本亜津里(あずさ)さん

色々なことに挑戦してみたいと考え、大学は経営学部に進学。大学進学後に学校のプログラムを利用してアメリカ留学。経営学を学びながら国際的なビジネスに関心を持ち始める。新卒でロクシタンに入社し、店舗で接客の仕事をスタート。社内の接客コンテストで上位3位が選ばれるクリスタルエトワールに選ばれ、プロヴァンスに研修で派遣された実績を持つ。

ロクシタンジャポン株式会社
営業本部 ディレクター 福島 麻名美さん

中高と附属の女子校に通う。漫画家を目指していたが才能がなく断念。次に興味を持った仕事は飛行機パイロットだったが、当時は女性採用はなくこれも断念。栄養学は人の健康と人生に一生涯影響すると考え、栄養学部に進学。その後、洋服好きが高じてアパレル企業に就職し、店頭販売、店長、エリアマネージャーも経験。様々な小売業で研鑽を積み、現在はロクシタンで営業責任者として活躍している。

世界中で愛されているロクシタン

ロクシタンの福島さん

ー今回、キャリア甲子園に初めて協賛されるということで色々お聞きしていきたいのですが、まず「ロクシタンとは何か」について教えてください。

福島さん:ロクシタンは1976年にフランスで生まれたライフスタイル提案型のコスメティックブランドです。全世界で3,000店舗を展開し、日本にも1998年に出店、現在は124店舗を日本国内で展開しています。

杉本さん:ロクシタンというとハンドクリームが有名ですが、ヘアケア、スキンケア、ボディケア、ホームフレグランスなども扱っています。多彩な商品でお客様に豊かなライフスタイルを提案しているのです。

ーロクシタンはグローバルブランドだと思うのですが、どこのエリアで特に人気、という傾向はあるのでしょうか?

福島さん:グローバルでみても日本は人気ですね。グローバルの売上比率ですと中国、アメリカ、日本、という順番で人気があります。ただ、国によって人気のあるフレグランスに違いがあるのが面白いところです。中国ではチェリー、日本ではヴァーベナ、西欧はアーモンド。多様なお客様に楽しんでいただけるブランドになっています。
お客様も30-50代の女性が中心ですが、最近は若い方にまで広がっています。ロクシタンの製品はドラッグストアやコンビニエンスストアで展開するほどマス向け商品ではありませんが、決して手が出ないわけではありません。いつもの生活をちょっと良くしたいと思うお客様が誰でも手に取っていただけるような商品を展開しています。

杉本さん:そうですね、心地よい生活を送るための投資だと思って買われていくお客様が多いです。私も普段、店頭でお客様の接客をさせていただいているのですが、リピートのお客様が本当に多くて。手が届く範囲の贅沢として、何度も何度もロクシタンの商品を手に取っていただいています。お客様からの信頼と愛情を感じますね。

ーしかし、どうしてロクシタンはそんなに世界で愛されているのでしょうか?

福島さん:ロクシタンが持つ世界観が支持されているのだと思います。お客様はロクシタンが生まれたフランスのプロヴァンスのエッセンスを求めていらっしゃいます。プロヴァンスの明るい気質、そして豊かな自然がある世界観を愛してくださっているのです。私たちは年間で16回、新商品のプロモーションを行うのですが、その度ごとに必ずご購入いただくお客様がいらっしゃいます。つまり、私たちロクシタンは、特定のヒット商品だけが売れるわけではなく、有難い事に、ロクシタンというブランドのファンでいらっしゃるお客様が多く、私たちのブランド、世界観、商品を愛して頂いています。

世界で愛されるブランドを作るためには?

ロクシタンの酒井さん

ー言われてみれば、確かにロクシタンは商品名ではなくブランド名で覚えていますね。それだけブランドが強いということだと思いますが、この「ブランド」という考え方はキャリア甲子園2021に挑戦する高校生もビジネスアイデアのヒントになるので教えてください。なぜ、そんなに強いブランドを作ることができるのでしょうか?

酒井さん:そうですね、それは私たちの商品や会社としての考え方に一貫性があるからではないでしょうか。私たちロクシタンは、プロヴァンスのライフスタイルを伝えるブランドです。パリから南にある田舎町であるプロヴァンスの街並みや花の香り、そしてゆっくりと流れる空気。プロヴァンスの景色は、どこを切り取っても絵のようだ、と皆さんおっしゃります。私たちはそのプロヴァンスの世界観を皆さんにお届けしているのです。

ー確かに優れたブランドには、ビジュアルによるイメージの想起がありますね。製品や店舗、コマーシャルなどどれをとっても「らしさ」が感じられると思います。ロクシタンもパッケージデザインやショップ作りなど一貫性があると思いますが、ロクシタンならではの取り組みはありますか?

杉本さん:ロクシタンの製品には、製品がカタチになるまでの背景を伝えるTrue storyと呼ばれるものがあり、私たちショップスタッフはこのTrue Storyを語ることで製品の魅力を伝えています。ただ単に性能や成分などの事実を語るだけではなく、想いや願いまで伝えることで、ロクシタンの世界観をお客様にお伝えしているのです。

福島さん:製品が出来上がるまでの背景を理解することで、何気ない日常も特別なものになっていきます。このTrue Storyは効果効能だけでなく、生産地に伝わっている歴史的な物語も掛け合わせているので、プロヴァンスの豊かな世界観が感じられるようになっています。私たちはただ製品を作って売っているわけではなく、プロヴァンスの空間が感じられるライフスタイルを提案しているのです。

酒井さん:またロクシタンは故郷である南フランスや地球、自然、植物を会社全体で守る活動を心がけています。例えば最近、サステナブルという言葉はよく聞かれますが、ロクシタンはSDGsが言われ始める前からサステナブルを目指した取り組みを続けてきました。容器の回収とリサイクルは積極的に行ってプラスチックの削減を実現しています。

ーどうして以前からサステナブルを意識していたのでしょうか?

福島さん:私たちは植物由来の製品を作っているのですが、生産のほぼ全てをフランスの工場で行っています。そして生産地が決して広いわけではない植物を、現地の農家の方と契約して協働しています。だからこそ私たちは植物に感謝をしなければならないし、素材が自然な状態で育つように、企業として責任を持っているのです。

酒井さん:会社をただ単に大きくするだけではなく、社会と共存している、というスタンスを崩さないのがロクシタンの強みですね。「B Corp」をご存知でしょうか。これはよりインクルーシブでサステナブルなビジネスを行っている企業を審査する世界的な認証システムのことです。まだ承認を受けた会社が全世界で数社しかいないのですが、このB Corp取得に向けてロクシタンも取り組んでいます。

ーなるほど、企業として一貫した姿勢、取り組みを続けることがお客様の印象に残る強いブランドにつながっているのですね。しかし言葉で言うのは簡単ですが、一貫した姿勢を持ち続けるのは意外と難しいものです。ロクシタンはどうして、そのような姿勢を貫くことができるのでしょうか?

酒井さん:ロクシタンでは「Entrepreneurship」「Team Spirit」「Leading By Example」「Authenticity」という4つのバリューを定義し、企業文化として根付かせています。これはグローバルで統一されている、ロクシタンの従業員が大切にしなければならない価値観です。ロクシタンで働く社員はもちろん一人一人個性がありますが、このバリューはみなさん大切にしているので、会社としてブレない活動ができているのだと思います。

キャリア甲子園を応援する意図と、高校生へのメッセージ

ロクシタンの杉本さん

ーアントレプレナーシップ(起業家精神)はちょっと意外ですね。キャリア甲子園にも共通点があります。

杉本さん:起業しよう、というよりは新しい挑戦を常にしていこう、という価値観ですね。私たちが絶対に守らなければならないのは原料生産者の方への熱意を込めて商品にしていくことです。この伝統だけは守らなければなりませんが、それさえ守っていればどんどん新しいことをやっていこう、という雰囲気が会社の中にあります。例えば私が働くロクシタン上野店は国内最大規模の敷地面積を持つショップなのですが、今度この店舗内にスタジオを作るんです。ライブコマース時代に対応した動きですね。これは上から降りてきた指示ではなく、現場社員からの発案です。社員からの提案に社長も「うまくいくかどうかわからないけど、やってみよう」と言ってくれて実現しました。社員一人一人が行動を移すところがロクシタンの強み。強いブランドを持っていても、そこに安住せずに社員が行動に移しやすい組織であることが大切だと思います。

ー強いブランドが生まれる秘密が少しわかった気がします。しかし、どうして今回、キャリア甲子園の高校生をサポートしようと思われたのでしょうか。

福島さん:未来を続けていく、サステナブルな世界を作っていく。これは現代社会に課せられた使命です。私たちロクシタンも、未来への責任を持つと同時に、若い人たちと一緒に未来を作っていきたいのです。でも今の若いみなさんは、コミュニケーションの取り方やサステナブルに対する考え方が大人と違うなと感じています。私たち大人世代よりもっと自然でニュートラル。キャリア甲子園に取り組む高校生がどんな考え方をするのか、どんなアイデアを出すのか、それを見てみたいとも思いました。

ーありがとうございます。それでは最後に、キャリア甲子園に出場する高校生にメッセージをお願いいたします。

杉本さん:失敗してもいいので色々なことにチャレンジしてみてください。気になることがあったらどんどん挑戦してみてほしいですね。

酒井さん:自分が高校生だったら、熱量を持ってアクションを起こす経験をもっとしておけばよかったな、と思うことがあります。遠慮してた高校生時代だったなと自分で思うんです。真剣に100%エネルギー込めて挑戦する。それが大人になってからの財産になります。情報化社会では事前に調べれば大抵のことはわかりますが、調べるだけではなくて行動に移してほしいですね。

福島さん:時間は有限です。高校生活も3年間しかありません。そこをどう使っていくかを大事にしてほしいです。長い人生において何も無駄になることはありません。1時間、1分、1秒で何を考え、行動し、経験するか。そのことを意識してみることでその先、皆さんの未来が変わると思います。

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