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第11回大会でマイナビキャリア甲子園に初めて参加する日本生命。日本を代表する生命保険会社であり、高校生の皆さんも社名は知っている人がほとんどだろう。生命保険は、私たちが安心して生活していくために欠かせない存在だ。生命保険の社会的意義を理解しながら、日本生命のテーマを読み解いていこう。(取材執筆:羽田啓一郎)
お話を伺った方
谷川 真裕子さん
中高一貫の女子校出身で、高校時代は吹奏楽部に所属。大学入学後は新しいことをやってみたいと思い体育会ラクロス部で汗を流す。部活で怪我や入院をしたことがきっかけで、保険と接点を持つ。就職活動で自分の将来をどうしようかと考えた時に、人を影ながら支えている必要不可欠な仕事に関心を持ち、日本生命に入社。
坂上 健悟さん
鹿児島の男子校出身。最初は医学部志望だったが、経営者向けの雑誌を読んだことがきっかけで、ビジネスに関心を持つ。そのため大学は経済学部に進学した。大学進学時に東京で一人暮らしをはじめ、塾講師や家庭教師、病院の夜間受付などのアルバイトを掛け持ちをしながら学生生活を送っていた。
意外と知らない、生命保険とは?
ー本日はよろしくお願いいたします。日本生命という会社名は聞いたことがあっても、「生命保険」という概念は高校生にとって身近ではないと感じている人がほとんどかと思います。まずは生命保険について教えていただけますか?
坂上:よろしくお願いいたします。私たちは生きている中で、予期せぬトラブルに遭遇するリスクを抱えています。そんな中保険に加入していると、何かあった時に金銭的な補償を受けることができます。
自動車や家など、モノにかかる保険を損害保険といい、命や体など人にかかる保険を生命保険といいます。私たち日本生命は、生命保険を扱っている企業です。
谷川:高校生の皆さんがご自身で保険に加入することはあまりないかもしれませんが、皆さんの保護者様が加入されていたり、世帯単位で見ると加入されている世帯が多いと思います。皆さんが学校を卒業し、社会人になると、自分の人生を自分で守る機会が増えます。こういった何らかのライフイベントのタイミングで生命保険にご加入される方が多いですね。結婚やお子さんが生まれたときに保険に加入したり保険内容を見直すなど、一生涯に寄り添ってお付き合いするのが生命保険なのです。
坂上:また、生命保険の会社は「共存共栄」「相互扶助」という考え方を大切にしていて、保険加入者の皆さんで助け合う仕組みで成り立っています。もう少し具体的にお伝えしますね。保険に加入した方たちは、皆さんが少しずつ保険料を出し合います。多くの人から保険料を集めることで、一人あたりが支払う金額は少なく済み、一人では負担しきれない大きな金額を集めることができます。その集まった保険料は困っている人にお渡しするという仕組みです。これが「相互扶助」、つまりお互いに助け合うという考え方です。
ー仮にですが、万一のことが起きた際に、多くの加入者を抱えている中で、全員に保険金のお支払いをすることは可能なのですか?
坂上:はい、もちろんです。そうした事態にそなえて、私たち生命保険会社はお客様からお預かりした金額以上のお金を有している必要があります。ではどうやってお金を増やすかというと、資産運用です。日本生命が投資でお金を運用することで大きな金額を保持しておくのです。
谷川:「資産運用でお金を増やす」といっても保険会社が莫大な利益をあげるためにやっているわけではなく、「相互扶助」の精神に基づいて、確実に保険金をお支払いするために行っていることです。
社会課題の解決につながり、社会全体によいインパクトを与えるような投資活動を通して、社会全体の持続的発展にも貢献しているのです。
日本生命だからできる、日本全国の地域に寄り添う活動
ーありがとうございます。よくわかりました。それではそんな日本生命のマイナビキャリア甲子園のテーマについて教えてください。テーマの中に「地域」という言葉が入っていますね。
坂上:日本生命は「国民生活の安定と向上に寄与する」という経営基本理念のもと、創業以来135年にわたり、お客様や地域に安心・安全をお届けし、本業を通じたサステナビリティ経営を行ってきました。特に「人」「地域社会」「地球環境」の3領域について重点的に取り組み、『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』の実現を目指しています。2024年5月から始動したニッセイサステナプロジェクト「にっせーのせ!」において、日本生命の職員が取り組むことができる新しいサービスを、高校生の皆さんの斬新な視点で考えていただきたいと思っています。
ー「にっせーのせ!」とはどういう活動なのですか?
谷川:私たち日本生命は国内1500拠点、約5万名の営業職員がそれぞれの地域で地域に根ざした様々なサステナビリティ活動をしています。ただ、日本生命の加入者様であってもそうした活動を知らない方が意外と多く…。そこで、各取り組みを日本生命として発信していくことで日本全体にポジティヴなメッセージをお届けしていく、そうした一連の活動を「にっせーのせ!」として展開しています。地域の皆さんとともに、日本生命ならではの取り組みを通じて、一緒に未来を創っていきたいと考えています。
ー例えばどんな活動をされているのでしょうか?
坂上:一つ大規模な事例として、昨年度からスタートしたがん検診受診勧奨活動をご紹介します。これは、がんやがん検診に関する情報提供に加え、がん検診の受診状況等に関するアンケートを収集する活動です。アンケートを集計した結果は、47都道府県をはじめとした全国の自治体および地域住民へフィードバックしており、地域住民のがん検診受診促進と自治体のがん検診政策の立案へお役立ていただくことを目指しています。昨年度は約56万名、今年度は9月末時点で約67万名を超える方からアンケート回答をいただいています。今年度は上記に加え、9月の健康増進普及月間と合わせて、約7万名の全職員が地域住民だけでなく、家族・友人等への「がん検診受診勧奨活動」にも取り組んでいます。このように、地域の皆さんのお役に立てるような取り組みを日本生命としてももっと増やしていきたいと思っています。
ー日本全国に職員がいて地域に根ざした活動をしているからこそできることですね。
坂上:そうですね、がんは日本人の二人に一人が罹患する*¹と言われており、早く見つかればその分治る可能性が高くなるので、本来は全国民ががん検診を受診した方がいいのですが、現在は50%程に留まっています*²。地域の皆さんと日頃のコミュニケーションを取っていくことで、もっと活性化していくべき取り組みだと考えています。
日本生命のテーマに取り組むヒント
ーありがとうございます。高校生が考える上でのヒントをいただきたいのですが、今回は高校生が住んでいる各地域の課題から考えてもよいのでしょうか。
谷川:もちろん、地域によって抱える課題は異なるので、みなさんがお住まいの地域課題をきっかけとして考えていただいて結構です。ただ、その特定の地域にしか存在しない課題というよりはその地域も含めた全国的な課題の方が、日本生命として取り組む意味は強くなると思います。私たちは地球の上に地域があって人がいる、という考え方をしています。テーマの中にも「誰もが」という言葉を入れているのですが、誰かを取り残すことのないサステナブルな活動をみなさんにも考えていただきたいです。
坂上:一方、ボランティアではないので当社が行うことで日本生命の保険事業にも連動する、という考え方は大切にしてほしいですね。地域のためになりつつ、日本生命としてやる意味があるもの、という視点は忘れないでください。企業が持続していくことと社会が持続していくこと、両方を目指していただきたいです。
ー保険事業以外のアイデアでも構いませんか?
谷川:誰かを取り残すことがない「安心」を軸に据えていただければ構いません。実際、日本生命グループでは介護や保育事業なども行っています。どのように安心を作っていきたいかが大切です。私たちは生活していく上で将来のことも今のことも、何かあった時に安心を提供できる“安心の多面体”を目指しています。
ーありがとうございます。それでは最後に、高校生にメッセージをお願いします。
坂上:私たちは社会や企業人としての考え方に慣れてしまっている部分があります。高校生の皆さんは、良い意味で社会に慣れておらず、考え方の制限もなく自由な発想ができると思うので、既存の枠に囚われすぎないで欲しいですね。周囲の人の声を聞き、自分自身がどういうことを思い描いているのかを考え、それを日本生命に繋げて考えて欲しいです。
谷川:今、自分が感じていること、困っていることを大事にして欲しいですね。働いている世代には見えていない困りごとや感覚があるはずです。高校生世代の皆さんが感じていることを大事にしてください。たくさんのアイデアを拝見できること、楽しみにしています。
<出典>
*1 (公財) がん研究振興財団「がんの統計 2023」累積がん罹患・死亡リスク 年齢階級別罹患リスク(2019 年罹患・死亡データに基づく)部位 全がん
*2 厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」※入院者は含まない。※算定年齢対象40歳から69歳(胃がん検診の受診者は50歳から69歳
子宮がん(子宮頸がん)検診の受診者は 20 歳から69 歳。)※過去 1 年間の受診率(胃がん検診・子宮がん(子宮頸がん)検診・乳がん検診は過去 2 年間の受診率