キャリア甲子園史上初となる建設業界の企業がテーマを出題!業界大手の鹿島建設だ。
テーマは「鹿島のこれまでを踏まえた上での20年後のビジネス」。商業施設をはじめ巨大な建設物をつくっている鹿島建設が、キャリア甲子園の高校生に何を期待しているのか?創業以来受け継がれている「進取の精神」とは?鹿島建設で広報CSRを担当されている、相方さんとファイファーさんに話を聞いた。

お話を伺った方

鹿島建設株式会社 広報室 企画・CSRグループ 相方 庸佐さん

付属高校出身で、大学入学後に大学から一般入試で入学してきた同級生に勝てる自分の武器が欲しいと思い、宅建や行政書士の資格を学生時代に取得。もともとまちや社会に興味があったので不動産業界への就職を考えていたが、「一つとして同じものはつくらない」というものづくりに魅力を感じ、鹿島建設に入社。東京で現場や総務系業務を経験後、熊本震災復興に携わり、福岡で活躍した後に昨年から広報CSR担当として鹿島建設の社会貢献活動をリードしている。

鹿島建設株式会社 広報室 企画・CSRグループ ファイファー文香さん

英語に幼い頃から触れ、異文化にも興味があったことから、地元静岡を離れ外国人留学生が多い秋田県の国際教養大学に進学。「みんなが行っていないところに行きたい」とアメリカやヨーロッパではなくキプロスを留学先に選んだ。東京駅丸の内駅舎保存・復原工事を手がけた鹿島建設の話を聞いた時、キプロス留学中に見た東ヨーロッパの傷ついた街並みを思い出し、ものづくりを通じて過去から未来へつなぐ鹿島建設に興味を持った。入社後は現場事務や広報報道の仕事を経験し、今年から広報CSR担当。二児の母。

100年をつくる会社。鹿島建設のつくってきたもの

鹿島建設の相方 庸佐さん


ー今年、初めてキャリア甲子園に参加されるということで、まず鹿島建設のことを教えていただけますか?高校生の皆さんも知らない方も多いと思うので。

相方さん:確かに高校生の皆さんは私たち鹿島のことはご存知ないかもしれませんが、皆さんの生活には必ず関係している会社です。私たちは「建設業」と呼ばれる業界の1社ですが、オフィスビルや学校、テーマパークや商業施設など皆さんにも馴染みの建物はもちろん、歴史的建造物の保存修理や、橋、鉄道、空港などインフラ施設も手がけています。

ー例えばどんなものをつくってこられたのでしょうか?

ファイファーさん:本当にごく一部をご紹介すると、例えば東京駅丸の内駅前広場、姫路城(保存修理)、沖縄美ら海水族館など皆さんも行ったことがあるかもしれない施設。他にも全国各地のダムや高速道路、風力発電などの再生可能エネルギー施設など、私たちの生活を支えるインフラ施設も手がけています。海外でも多くの実績があり、例えばハワイのアラモアナショッピングセンター、サンフランシスコジャイアンツ球場、日本パラオ友好橋などをつくり、インドネシアジャカルタのスナヤンスクエア複合開発も行っています。

ースケールが大きいですね・・・!

相方さん:私たちの創業は江戸時代末期です。建設というものづくりを通して持続可能な社会をつくっていくための自負と責任を「100年をつくる会社」と表現し、日々挑戦しています。100年前は高層ビルも高速道路もありませんでしたし、大勢の人が入るスタジアムもありませんでした。ここまで変化したのは、「もっと豊かな暮らしを実現したい」という人々や社会の思いがあり、その思いを我々建設業がカタチにしてきたからです。

ファイファーさん:建設会社というとクライアントの思いを形にし、建物をつくるだけと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちは建物をつくるだけでなく、自らクライアントとなり、まちの新たな価値を創造し高めていく「不動産開発」という仕事も行っています。最近では、羽田イノベーションシティというスマートシティをつくる事業に代表企業として出資参画し、まちの企画・計画段階から携わり建物をつくるとともに、その後の運営も行うことで、まちづくり全体の責任を負っています。

ー依頼されたものをつくるだけではない、と。企画・計画から関わって、自分たちでまちづくりを考えるのは面白そうですね。

相方さん:私たちの出発点は1840年、創業者の鹿島岩吉が大工として独立した時から始まっています。開国によりさまざまな外国商人が訪れる中、当時他が敬遠していた西洋人から横浜初となる外国商館建築を請け負い、それを皮切りに数々の洋館を手掛け「洋館建築の鹿島」と呼ばれるようになりました。しかしその後、文明開化により鉄道建設の機運が高まると鉄道請負業に転身するなど、時代の流れに合わせ、業界の先頭を切って新たな領域に挑戦することで、「鉄道の鹿島」「ダムの鹿島」「超高層の鹿島」などと呼ばれてきました。このように私たちは、みずから進んで物事に取り組むことを大切にしており、これを「進取の精神」と呼んで代々受け継いできています。

鹿島はなぜ、キャリア甲子園に協賛するのか?

鹿島建設のファイファー文香さん


ー想像していた以上に歴史とスケールを感じました。しかしそんな鹿島建設が、なぜ今回キャリア甲子園に参加したのでしょうか?

相方さん:私たち鹿島が培ってきた進取の精神と建設業の魅力を次世代に伝え、残していきたいからですね。そして高校生の皆さんの感性を見てみたい、という思いもあります。私たちは先程もお話ししたとおり「100年をつくる会社」を掲げています。社会に大きく影響を与える建物・インフラ施設やまちづくりを担うものとして、100年先の次世代の評価に耐えうる事業を自分たちができているか、という視点も大切にしたいのです。

ファイファーさん:鹿島が誕生して以来、明治維新、関東大震災、第二次世界大戦敗戦、高度経済成長、バブル経済崩壊と日本は何度も大きな転換期を迎えてきました。キャリア甲子園2021の大会テーマは「Re:Creation」。これまでの鹿島の歴史を振り返っていただき、皆さんの感性で捉え直して欲しいのです。その上で、「こんな建物があったら楽しいよね」「こんなまちがあったら暮らしやすいよね」と自由に発想を膨らませてほしいです。

ーなぜ舞台設定が20年後なのでしょうか?

相方さん:100年をつくる会社なので100年後と言いたいところですが、それだと流石に遠すぎますからね(笑)。高校生の皆さんが社会に出て、主役として第一線で働いているであろう20年後を想像してみてほしいなあと思い20年後にしました。

ファイファーさん:20年後も遠いなと思われるかもしれません。でも、私たち鹿島の新技術や一つのプロジェクトが実現するまでに20年かかることも珍しくありません。ですので、皆さんが今回考えていただいた企画が20年後に実現している、ということもありえない話ではないのです。

ーそう考えると鹿島建設のビジネスのスケールはやはりすごいですね。20年後の社会がどうなっているか、建物やまち、そして社会のトレンドがどうなっているかを考えることも重要ですね。

相方さん:冒頭に申し上げたとおり、建設業においては同じものをつくることがないため、つくっていく過程で、建物の仕様を決めていくことが多々あります。ですので、つくり始める段階で、完成した時のイメージや使用開始後の稼働状況などをデジタルな仮想空間に構築し、そこでリアルなシミュレーションを行うことが出来たら便利ですよね。これを「デジタルツイン」と呼び、鹿島が力を入れている取り組みの一つです。この技術は20年後には、建物だけでなく、暮らし・エネルギー・生産基盤・自然などの領域でも実現していると思っています。

ファイファーさん:私の方からは、鹿島が描く未来として、二つのキーワードをご紹介いたします。
鹿島は、あらゆる領域でデジタルツインを適用していくことで、若者も高齢者も集まる、より生き生きとした「ヒューマン・スマート・ソサエティ」が実現してほしいと思っています。そのために、地域特性に応じたエネルギーサプライチェーンの構築に着目しており、現在、北海道鹿追町と連携し、家畜のふん尿から作られるバイオガスを利用した地域スマートソサエティ構想を進めています。
また、世界を舞台に魅力ある建設業を創出するために、ロボティクスやデジタルの力で建設プロセスの生産性をもっと高めていこうという「スマート・コンストラクション」に取り組んでいます。例えば現場においては、今まで人が行っていた作業の半分をロボットが行い、管理の半分を遠隔で、さらには全ての過程にデジタルを取り入れることで、これまで以上に効率的に建物をつくり上げていこうというものです。

相方さん:こうした未来をイメージし、今まで誰も考えたことのないような建物やまちづくりを考えてみてください。今までの建設現場のイメージに囚われずに自由に発想してほしいですね。

キャリア甲子園攻略のヒント


ー想像するとワクワクしますね。しかし今回のテーマでは「新たな価値を創出するビジネス」になっていますね。建物やまちじゃなくてもいいのでしょうか?

相方さん:そう、そこは悩んだんですよ。ただ、私たちは建物だけをつくっているわけではなく、まちをつくり、社会の基盤をつくっている会社でもあります。そしてヒューマン・スマート・ソサエティでも触れたように人々の生活は自然やエネルギーといかに共存し、持続的な社会をつくっていくことが大切です。なので、思い切って建物という概念を外してみました。20年後の生活や社会を想像し、その中で鹿島がどんなビジネスを行って社会に貢献できるかを想像してみてください。

ファイファーさん:実は1991年以降、対外的に自分たちのことを表現するときは「鹿島建設」ではなく「鹿島」と名乗っています。建設をつけずにただ「鹿島」と称した理由は、建設のみにとどまらない、建設以外の不動産開発、環境、エンジニアリングなどのさまざまな分野にも挑戦していくという会社の意思の表れなのです。

ー気づきませんでした!でも確かに先程から「鹿島」とおっしゃってますね。まさに進取の精神を体現していこうという決意ですね。

相方さん:そうですね、そしてその進取の精神を実現していくための心構えとして、鹿島の中興の祖と言われる鹿島守之助による「事業成功の秘訣二十カ条」があります。詳しくはWebサイトを見ていただければと思いますが、ここで述べられていることは、キャリア甲子園で企画を考えるときも参考になるかもしれません。ニューノーマルと言われる今の時代にも活かせると思っています。

ーありがとうございます。よくわかりました。では最後に、キャリア甲子園に挑戦する高校生の皆さんにメッセージをお願いします。

ファイファーさん:キャリア甲子園には鹿島以外にもいろいろな企業、ビジネスに触れる機会があります。さまざまな業界の理解を深めながら柔軟な発想で考えてみてください。建設業って実はすごく身近なのですが、気づかない存在です。例えば皆さんがネットショッピングをして家に商品が届くまでの間にも、商品が保管してある物流倉庫や、その商品を運ぶトラックが走る高速道路をつくっているのが鹿島だったりします。人々の生活を目で見える形で支え、その仕事の成果が長く残るものづくりの魅力を感じてもらえたら嬉しいですね。

相方さん:他人事ではなく、自分の生活をイメージして、「こんなことが変わったら」という感覚で考えてほしいです。100年前に、100年先を見すえて、本気で課題に取り組んできた人々がいたからこそ、今の豊かな社会があります。豊かな未来は待っているだけではやってきません。次の100年をつくるのは皆さんです。今の思いを大事にして、その思いを持ったまま社会に入ってきてほしい。今回のキャリア甲子園をそのきっかけにしてほしいですね。

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