キャリア甲子園決勝大会審査員 BBT大学 宇田左近様インタビュー

2015年以来、毎年キャリア甲子園決勝大会でファイナリストの審査員を担当いただいている宇田左近さん。「宇田さんの質疑応答が一番緊張した」と答えるファイナリストがいるほど、鋭い質問が繰り広げられるのはキャリア甲子園決勝大会の名場面とも言える。
そんな宇田さんは、ビジネス・ブレークスルー大学の副学長であり、経営学部の学部長でもある。日々、経営を学ぶビジネスパーソンのビジネスプランに真剣なフィードバックをしているのだ。
今回、宇田さんの特別インタビューが実現。宇田さんはこれからの社会をどのように見ているのか。そして毎年キャリア甲子園を見ていて感じることとは?必見のインタビューをお届けする。(取材・執筆:羽田啓一郎)

キャリア甲子園2021大会テーマ「Re:creation」とBBT大学

毎年、決勝大会の審査員を担当いただいている宇田さん


ーキャリア甲子園2021大会テーマは「Recreation」ですが、BBT大学は日本初のオンライン大学、大学院としてずいぶん前からオンラインでの授業体系を確立していました。教育にどのような価値の再定義を行なったと言えますか?

私たちが最初にフォーカスしたのは「社会人にも学び直しが必要である」という問題提起でした。技術革新のスピードが早まっている現代社会では、常に知識をアップデートする必要があります。これまでの社会では「学ぶ」「働く」「リタイヤ」という三つのステージで人の人生は動いていきました。しかし大学を卒業してそれで学びが終わってしまうようでは日本は世界で戦っていけません。そこで、社会人でも最新の経営理論を学べる学校を作ろうとしました。しかしビジネスパーソンは日中は会社での仕事があります。多忙なビジネスパーソンが働きながら学べる、学びと働きを一体化させるためには何ができるか、と考えた結果がオンラインだったのです。

ーなるほど、オンラインにすることが目的だったわけではなく、オンライン化は手段だったということですね。

そうですね。リカレント教育(学び直し)という言葉も今でこそよく聞かれるようになりましたが、完全オンラインにして時間の自由度を持ち、働きながら学べる。こういう世界観を作りたかったのです。

ーそういう意味でBBT大学はコロナの前から時代を先取りしていたといえますが、一方でコロナ禍でリモートワークやリモート授業が一般化していく中、人と人との関係性の希薄化も問題視されていますがこの辺りはどのようにお考えでしょうか。

BBT大学は設立当初からオンラインだったので、最初からオンラインに最適化された方法論を確立しています。コロナ禍でオンライン化が進みましたが学生の評判は良くない大学が多いようですね。BBT大学はオンラインですが人と人の繋がりがとても強い大学なのです。オンラインというと一方通行的になりがちですが、教員と学生の距離感が日本にある大学の中でBBT大学は一番近いのではないかと思っています。私も教授として学生の指導も担当しますが、教授が学生と1on1で面談するのが当たり前になっています。その関係は上下ではなくフラットです。BBT大学には様々なキャリアの人が集まってくるので、一人一人を理解し助言する必要がありますからね。教授だけでなく、大学スタッフも学生のケアをしています。またオンライン授業なので教授が他の教授の授業の様子を見られるので、関連する授業との繋がりも考えられることも学生にはプラスになっています。学生からの意見、フィードバックをもとに教員が自分の講義の改善点を見出すこともできる。このように、オンラインですが人と人の繋がりは特別に強い大学だと思います。

これから世界で巻き起こる大きな変化とは?

2020大会、審査員特別賞チームを表彰


ーコロナ以前からVUCAの時代と言われており、社会全体が大きく変化しています。宇田さんの考える、これからの社会の大きな潮流はなんでしょうか。

まずデジタルによる変化は当然のことですね。これはもう、言う必要もないくらい当たり前。デジタルを使いこなすセンスがないと新しい事業を起こそうとしたときに何もできません。これから、デジタルは日本人にとっての米のように、人類にとって当たり前の存在になっていくでしょう。

ーなるほど、プログラミングができるできないというより、デジタルを使いこなすセンスがないとこれからの社会ではアイデアを具現化するものが何もなくなってしまう、と。他に、社会の大きな変化はありますか?

気候変動でしょうね。SDGsという言葉は高校生の皆さんも聞いたことがあると思いますが、世界では大きなうねりになっています。海外と日本が違うのは、海外はこの大きな社会課題をビジネスとして取り組もうとしているのに対し、日本はコスト計算ばかりしている。私は元々外資系コンサルティングのマッキンゼーという会社にいましたが、当時からgreen to goldと言われていました。社会変化は新しいものを生み出すチャンスでもあります。しかし日本はコンサバティブ(保守的)なので、なかなかそうならない。過去の成功体験が邪魔をする。20年後を見越して次のビジネスの種を仕込んでいるか。どうも今の世界は、欧米の作る枠組みに従った構造になっているような気がしますね。グローバル化が進みすぎて、他国に依存した構造になってしまっているという点も気になります。これでは自国民を守れません。グローバルと自国のビジネスの関わりは見直しが必要だと思っています。

ーそうした大きな変化に対応するためには、大学を卒業した社会人も学ばないといけませんね・・・。

そうですね、今は世界情勢の変化の話をしましたが、我々個人に起こる変化はリ・スキリングだと思います。つまり、学び直しですね。VUCAの時代(不確実な時代)と言われているように、これからの社会がどう変化していくかを読むのはかなり難しい。だからこそ、先を読むのではなく、時代の変化に合わせて自らをアップデートし続けていく必要があるのです。

宇田さんから見た、キャリア甲子園の高校生

審査員特別賞チームを後日個別メンタリングをする機会をいただいた


ー長年、キャリア甲子園の決勝大会で高校生のプレゼンテーションを審査いただいていていますが、キャリア甲子園に参加する高校生にどのような印象をお持ちですか?

キャリア甲子園に集まってくる人たちは、起業家精神を持ち、今の社会をなんとかしなくてはならない、という危機感を持っている人たちだと思います。このことはすごく大事です。長い人生の中で、若いうちに家族や学校、塾の先生以外の人たちと議論する機会があるということはとても大切です。こういう経験を積んでいくことは、本人が思っている以上に自分の人生に大きなインパクトがあるはずです。だからキャリア甲子園の結果がどうであっても、ここに参加された人には これからも期待できるし将来的なキャリアの成功のきっかけにしてほしいと思いますね。

ー逆に、高校生にアドバイスはありますでしょうか。

自分の目で確かめることが大切です。インターネットでは様々な情報が飛び交っていますが、これは一体何なのか、これでいいのか、と立ち止まって考える力が大切です。キャリア甲子園の企業テーマをそのまま受け止めて、どう実現したらいいか、というHowに入りがちですね。Howという手法を考える前にWhyが必要です。キャリア甲子園に協賛している企業のテーマのその先に何があるのか、どんな目的を持つべきかをよく考えてほしいと思います。企業側の思惑も踏まえた上で、自分たちが何をすべきかを考えてほしい。

ーHowの前にWhyが大切。企業がなぜそのテーマを出したのか、その思惑も考えてみよう、と。

自分で理解するためには自分で試してみることが大切です。ネットで調べて終わりではなく、自分の体で見聞きする。試してみる。そういうことを繰り返していると、whyが湧いてくる。その気持ちを持ってほしいですね。
先ほどお話しした社会変化は本当にごく一例です。グローバルには世界が、Re:creationの中でどう変わっていくか。自分たちの頭で、もう一度考えてみることをお薦めします。