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前回はこちら!

2020.06.01
キャリア甲子園の歴史 2015年度編
前回はこちら! 皆さんこんにちは、キャリア甲子園運営事務局の羽田です。 キャリア甲子園の歴史を振り返る連載コラム、第2弾です。 前回は初開催となった2014年度大会を振り返りました。 そして今回は、大転換かつ現在のキャリア甲子園の基盤となった2015年度大会を振り返ります。 ...
企業からのテーマ出題、企業代表同士が決勝戦でぶつかり、その様子をニコ生で放送する・・・。
キャリア甲子園の基本の形が出来た2015年度大会は、私としても感触をつかめた大会でした。
企業がテーマを出し、高校生がチームを組んでプレゼンする。そして最終的には決勝戦の舞台で各企業が指名した「ファイナリスト」がニコファーレで国内最高峰の高校生プレゼンを披露する・・・。
基本的な仕組みはこれで完成とし、細かい修正点を加えていきました(例えば2015年大会は準決勝が東日本1チームと西日本1チームの一騎打ちでしたが、まだまだ東日本の方が参加者が多く倍率に大きな差が出てしまったので地区別の選抜は廃止した、など)。
では2016年は何を目指すか。答えはシンプルで「マネタイズ」と「規模拡大」です。
キャリア甲子園をどのように継続させられるか
以前、キャリア甲子園に出場していた女の子にこんな質問をもらったことがありました。
「キャリア甲子園のビジネスモデルは何ですか?」
キャリア甲子園をきっかけにビジネスについて興味を持った彼女は、何の悪意もなく、純粋な疑問点を僕に聞いてくれたのですが、僕は「うっ」と唸らずにはいられませんでした。
そう、お恥ずかしながら、キャリア甲子園はマネタイズができていなかったのです。高校生にビジネスを考えろと言っておきながら、自分たちはまともにマネタイズができていませんでした。企業様にテーマを出していただいていたとはいえ、いづれも無料でご参加いただいていたのです。
キャリア甲子園自体には大きな可能性を感じていたものの、お金が稼げないなら民間企業としてやっていくには限界があります。キャリア甲子園を持続させるためには、そして拡大発展させていくためにはお金が必要。
ここで僕らは初めて「企業からお金をいただこう」という決心をしました。
ただ、企業に「お金ください」と言ってももらえるはずがありません。当たり前ですがビジネスというのは何らかの提供価値があって初めて商品・サービスとして成り立つのです。ではキャリア甲子園が企業様にご提供できる価値って何なんだろう・・・?
当時、僕らは4人チームでした。その中で営業として動いたのは僕ともう一人。でも僕は企業の新卒採用営業出身で、もう一人は人材紹介。「高校生を採用しませんか!」という営業が成り立つとは思えません。
そしてそもそも「高校生が企業のビジネスを考えてプレゼンするビジコンです」という言葉だけでキャリア甲子園の凄さを企業様に伝えるのは難しかったのです。
ここで生きたのが2015年大会でした。ニコファーレという最高にバえる舞台でプレゼンする高校生が絵として、動画として残っているのは非常に説得力があった。そしてニコ生を視聴してくれる人が大勢いたのも大きかったし、参加者数も1,000人を超えていた。
高校生が企業の課題に取り組む、という仕組み自体に説得力が出てきたのです。
この辺りに価値を感じていただき、2020年大会まで継続的にご協賛くださっているバイエル様や大塚製薬様、前年度は無料参画だったものの一度体験して価値を感じてくださった資生堂様や帝人様、そして内閣人事局様にご協賛いただけることになりました。また新たに日本航空様もご協賛いただくことができました。
もともと少ない人数で回していましたし、決勝大会以外は全て手作りの大会だったのでこれでようやくキャリア甲子園も収支で見ればトントン、というところまできました。
ところが、この後嬉しい誤算がおきます。
キャリア甲子園が全国区に
何が嬉しい誤算だったかというと、キャリア甲子園の噂が学校関係者にじわじわと広がっていき、「学校の授業で参加したい」とおっしゃっていただく学校様が増えてきたことです。
これもやはり2015年大会が動画として残っていたことが大きい。「すごいプレゼンがある」とニコ生のアーカイブ動画が出回り、「キャリア甲子園という大会があるらしい」ということで高校として参加する学校が増えました。
これまではほぼ関東圏の高校生がメインでしたが、この2016年あたりからじわじわと関東圏外の高校生も参加するようになりました。
・・・で、これの何が嬉しい誤算だったかというと、準決勝大会の交通費と宿泊費です。2015年大会までは関東ばかりだったのでそこまで大きな負担にはなっていなかったのですが、参加者層が全国に広がったことによって運営が準決勝大会で負担する交通費宿泊費が膨大になり、「やっと収支トントン」となっていた状態から一気に赤字に転落しました。
赤字になってしまったことは決して喜ばしいことではないのですが、そこまで甲子園が広がったということなのが救いです。ビジネスは、本当に難しいもんですね・・・。
キャリア甲子園2016を制したのは海陽学園の「米ット。」
こうして迎えたキャリア甲子園決勝大会。圧巻のプレゼンで優勝したのは海陽学園の「米ット。」でした。
これまで様々な高校生や大学生のプレゼンを見てきましたが、「米ット。」のプレゼンのクオリティはキャリア甲子園歴代の中でも屈指だったのではないかと個人的には感じています。
特に圧巻なのが質疑応答。ここに、他のファイナリストチームとの決定的な違いが出ました。それは何かというと「当事者意識」。他のチームもプレゼンのレベルは高かったのですが、決勝大会に向けて練習してきたプレゼン。つまり、質疑応答時の審査員からの予想外の質問にうまく答えられなかったのですが、「米ット。」は決勝大会のために練習してきたわけではなく「自分たちがこのビジネスをやるならどうするか」という視点で企画を練ってきました。
だから、審査員からのかなり厳しい質問にも「それについては・・・」としっかりと答えていくのです。
そうか、プレゼンの差はこういうところに出てくるのだな、と僕自身も勉強になりました。キャリア甲子園の審査項目には「使命感」という項目があるのですが、これはこの2016の「米ット。」のプレゼンを見て2017年大会から取り入れた審査項目です。
こうして、キャリア甲子園2016は無事に開催することができました。3年目の大会が終わり、基本の形ができて、赤字とはいえ企業からお金をもらうことができるようになってきた。
ここから、キャリア甲子園はますますの進化を遂げていきます。
<続く>