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2022年大会から初参加となったVisa。買い物をするとき、街中で「Visa」というブランドマークを見たことがある人も多いだろう。しかし聞いたことはあっても何をやっている会社なのか、正確にわからない人も多いのではないだろうか。高校生にとってもメリットの大きいデビットカードの仕組みをはじめ、これからの社会で大きなテーマとなる「キャッシュレス」について考えてみてほしい。(取材:羽田 啓一郎)*この文章は2022年9月に取材した情報をもとにしています。
お話を伺った方
谷島 秀一さん
父親の仕事が地方の旧特定郵便局(郵政民営化以前に存在した郵便局の分類のひとつ)で、自分もその仕事を継ぐと思い、金融や経済、社会の仕組みを学ぼうと大学では政治経済学科に進学。金融のゼミに入って勉強をするうちに、民間の金融機関である銀行への就職を希望するようになる。当初継いでくれると思っていた両親も最初は反対していたものの、仕事や人生についてじっくり話し合う機会をつくり、最終的には納得、応援してくれるようになった。
松本 直久さん
高校時代は理系だったが、大学受験当日、数学の問題が解けなかったことがきっかけで、文転。浪人時代、勉強の傍らで新聞を読むことが毎日の日課となり社会問題に関心を持つようになったことから、社会の仕組みを司る法学部への進学を決めた。大学卒業後は銀行や外資系金融で働いたのちにVisaへ。
Visaとはどんな会社なのか?
ー今日はよろしくお願いいたします。まず、Visaという会社について教えてください。クレジットカードにはよくVisaのロゴを見ることがあります。
松本:よろしくお願いいたします。Visaはカードを発行している会社だと思われている方も多いのですが、実はカードは一枚も発行していないんです。私たちのミッションは、安心・安全な決済ネットワークで世界を結び、人々や企業の発展に貢献することです。そのネットワークを提供することにより、お店や消費者の皆さんが世界中でVisaの決済を利用することを可能にしているのです。
谷島:つまり、Visaはカード会社ではなくネットワークの会社なんですよ。世界最大のペイメントネットワークの一つとして、世界200以上の国と地域におけるデジタル決済を通して、消費者、加盟店、金融機関、企業などを結ぶ役割を果たしています。
ークレジットカードの会社だとばかり思っていました・・・。今回テーマになっている「デビットカード」も、聞いたことがあっても実際よく知らない人も多いのではないかと思いますがこれはどういうものなのでしょう?
松本:まず皆さんに知っていただきたいのは、クレジットカードは18歳にならないと使えませんが、デビットカードであれば銀行口座さえ持っていれば15歳以上の方でも申込可能*だということです(*発行会社による)。そしてデビットカードは高校生の皆さんにとってもメリットが大きい仕組みなのです。クレジットカードを使って買い物をすると、そのお金は後で請求されます。これはこれで便利なのですが、使い過ぎてしまうのではないか、という不安を持つ方もいらっしゃいます。ところがデビットカードは買い物で使うと、そのカードに紐づいた銀行口座からすぐその場で引き落とされます。口座にあるお金分しか使えないので、使いすぎるということはありません。
谷島:お小遣い帳をつけて自分の残高を管理されている方もいるかもしれませんが、デビットカードならいつ何をいくらで買ったかが自動で残り、スマートフォンなどでチェックすることができます。だから便利に管理できるのです。使いすぎないようにデビットカードで使える金額に制限を加えることもできます。現金だと財布を無くしたらそれで終わりですが、デビットカードの場合は紛失・盗難などで不正利用された場合も補償*があるから安心です(*詳しい適用条件等については、発行会社にご確認ください)。デビットカードはキャッシュレスを気軽に始める最初のステップとしておすすめなんですよ。
出題テーマに込められた思いとは?
ー全く知りませんでした。メリットしかなさそうですね。しかし便利なのに知られていない気がしますが、それはどうしてなのでしょう?
松本:まさにそれが今回マイナビキャリア甲子園でテーマを出した理由の一つでもあります。デビットカードの特長を活かしてストレスフリーになる社会を想像してみていただきたいな、と。先ほどおっしゃっていただいた通り、デビットカードはメリットがかなり大きいのですが、日本ではキャッシュレスという概念について不安を感じる方がまだまだ多いのが実情です。日本は、手にとって目で見ることができる「現金」に対する信頼が厚い国で、姿形が見えないキャッシュレスには生理的に不安を覚える方が多いようなのです。
谷島:例えば、海外ではキャッシュレスがかなり浸透していることは聞いたことがあるのではないかと思います。日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に、という目標を掲げています。バーコード決済やスマートフォン決済など、日本でもキャッシュレスは徐々に広まり、2021年には決済比率は32.5%*まで上昇しました。(*2022年6月1日経済産業省発表)キャッシュレスがもっと広がれば、私たちの生活はもっと豊かで便利になるはずです。マイナビキャリア甲子園に参加する皆さんにも、ぜひそんな世界を一緒に思い描いていただきたいのです。
ー確認ですが、今回のテーマはデビットカードやキャッシュレス決済を広める方法を考えてほしい、というわけではないですよね?
松本:そうですね、そういうわけではないです。デビットの特長を活かしストレスフリーな新しいサービスを皆さんに自由に発想していただきたいなと思っています。ショッピングが好きな方も多いと思いますが、“自分が気に入ったものを手に入れること”が好きなのであり、“お金を払うこと”自体が好きなわけではないですよね。多くの方にとって“お金を払う”という行為はストレスなはずです。であれば、そこの部分はもっと便利にして、本来の目的である楽しいことにもっと意識がいくようになればいいなと思っています。
谷島:海外に行くとお金を現地通貨に換え、慣れない通貨単位で計算して財布の中からジャラジャラと小銭を出したりしなければなりません。でも、デビットカードならそうした煩わしさからは解放されます。またクレジットカードを持っていない高校生の皆さんはインターネットで買い物ができないと思っているかもしれませんが、Visaが使えるお店・サービスならそうした制限も無くなります。
松本:Visaが使えるお店は国内外に8,000万以上*あります(*2021年9月30日現在)。そしてデビットカードは銀行口座さえ持っていれば15歳以上の方なら*申し込むことができます(*発行会社による)。シンプルに言えば、デビットカードは世界中8,000万以上のお店と皆さんをつなぐことができるのです。経済活動に参加するチャンスはすべての人に平等であるべきです。巨額の設備投資ができない小さな規模の個人商店でも、世界中の人をお客様とすることができるはず。Visaは、多様な背景や視点を尊重し、ビジネスの規模にかかわらず企業や個人、より多くのコミュニティが、グローバル経済に参画するための新しい方法を日々模索しています。みなさんにもその新しい方法を一緒に考えていただきたいなと思っています。
高校生へのメッセージ
ー確かに言われてみれば日常的に無意識に行なっている「買い物」という行為が変われば新しいサービスや商品、行動様式が生まれてきそうですね。では最後に、マイナビキャリア甲子園に挑戦する高校生に期待していることを教えてください。
谷島:お金を払う、というのは全ての人が行うこと。この身近なことを使って世の中をどうすれば良くできるだろうか、と考えてみてほしいです。そしてお金は私たちが現代社会を生きていく上で基本的なことです。お金とどのように付き合うと自分の人生が幸せになるだろうかということを考えてみてほしいですね。
松本:みんなの切り口で新しい社会の姿を考えてみてほしいですね。現金の交換では出来ないビジネスや新しい仕組みが、キャッシュレスになることによって新しい可能性が生まれてくるのです。先ほどもお話ししましたが、支払いはあくまで黒子です。黒子だからこそストレスフリーであるべき。支払いがストレスフリーになったら、私たちの日常生活はもっと楽になる。そんな社会を想像してみてください。