今年マイナビキャリア甲子園に初参加となるQoo10。可愛くポップな広告やSNSなどで見たことがあったり、実際に利用している方も多いかもしれない。
そんなQoo10のテーマは「お買い物」。誰でも日常的にしている行為だが、その買い物をもっと楽しくワクワクさせるアイデアが求められている。良いアイデアはQoo10で実行される可能性もあるという。このインタビューをヒントに、「ワクワクする買い物」について考えてみよう。(取材:羽田啓一郎)
お話を伺った方
モラーノ 絢香さん
高校2年生まで日本で生まれ育つ。交換留学プログラムのコンテストで入賞し、アメリカインディアナ州の公立高校に留学を経験する。日本語が喋れない環境でさまざまな国の人たちと生活をしてく中で、ITがコミュニケーションのあり方を変えると実感し、ITを総合的に学べる大学に進学。その後、インターネットメディア系の企業でキャリアアップを重ね、現在のeBayJapan合同会社に入社。Qoo10の戦略マーケティングに取り組んでいる。
“お買い物と、あそぼう。”Qoo10のユニークなポイント
ー本日はよろしくお願いいたします。Qoo10は今年マイナビキャリア甲子園に初参加となりますが、どうして参加してみようと思われたんですか?
こちらこそよろしくお願いいたします。マイナビキャリア甲子園に参加してみようと思った理由は、私たちのサービスが今後もっと発展していくためには、若い皆さんの感性や日常習慣がとても大切なヒントになると考えたからです。テクノロジーの発展によって社会が大きく変わっている中、私たち一人一人の価値観や行動習慣も変化しています。それであれば大人が考えるだけでなく、これからの未来を作っていく高校生の皆さんのアイデアを見てみたいと思ったのです。良いアイデアがあれば、今すぐにでもQoo10として展開していきたいと思っています。

ー実現すると考えたらすごくワクワクしますね。
また、個人的にもマイナビキャリア甲子園の取り組みには共感する点があります。私自身、高校生の時に交換留学のプログラムに参加したいと思い、入賞すると奨学金が出るコンテストに出場して、アメリカに行くチャンスをいただきました。それによって大きく人生が変わったのです。今回、マイナビキャリア甲子園に参加する高校生の皆さんは、この経験によって今後の人生が大きく変わるかもしれない。そうした機会に少しでも関わらせていただけるのはうれしいですね。
ーありがとうございます。ではまずはQoo10というサービスについて教えてください。
私たちは「Qoo10」というインターネット総合ショッピングモールを展開している会社です。ほかにもECサイトはたくさんありますが、Qoo10は「お買い物と、あそぼう。」というコンセプトを大切にしていて、それが他のサービスと異なる点だと思います。今回のテーマにもなっていますが、買い物をしていて楽しいなと感じる時間をどう作っていくか。それが私たちの存在価値だと思っています。
ー面白いコンセプトですね。買い物は誰もが行なっている行為だと思いますが、あまりに日常的すぎて作業的になりがちで、楽しいと感じられるシチュエーションはたまにしかありません。
そうですね、特にスマートフォンを使って行う買い物は1人で行うことがほとんどだと思います。私たちはECサービスとしては後発だったので、このマーケットで戦っていくためには特徴的なコンセプトが必要でした。最初は「衝撃コスパモールQoo10」というコピーで安さを打ち出した展開をしていたんです。でも安さだけではなかなか他のサービスとの違いが生まれない。そこで「お買い物と、あそぼう。」というコンセプトに転換したのです。

「メガ割会議」など、ユーザーが盛り上がるカルチャーが生まれるQoo10
ー「お買い物と、あそぼう。」とは具体的にはどのようなことでしょうか?
私たちは消費者の皆さんと一緒にムーブメントを作っていくことを得意としています。例えば、Qoo10では年4回「メガ割」という大規模セールを行っているのですが、メガ割実施期間中は、SNS上で一つのカルチャーともいえる状態になっています。目にしたことがある方もいらっしゃるのではと思いますが、Qoo10でメガ割セールが始まるとユーザーの皆さんが「#メガ割」というハッシュタグをつけておすすめ商品を紹介し合うのです。さらにはメガ割で何を買うかユーザー同士で話し合いをすることを「メガ割会議」と呼んでいるのですが、メガ割中にはたくさんの方たちの「メガ割会議」動画がアップされます。ユーザー同士が話し合い、楽しみながらお買い物ができるような体験になっていると思います。他にも、Qoo10で韓国コスメを見つけたユーザーが実際に韓国に行って現地で販売されている様子をSNSでアップするなど、Qoo10が起点となりながらユーザー同士が繋がるような現象も起きています。
ーただ単に買い物をするだけのサービスではないということですね。取り扱う商品に特徴はありますか?
ファッション、ビューティー系が取扱商品の6,7割を占めていますが、それ以外にフードやデジタル、エンタメも扱っています。最近強化していこうとしているのがフードとエンタメの領域。特にフードは、体の内側から整えてくれるインナービューティーを提供したいという考えです。ダイエットや肌管理など老若男女関心が高い方が多いですが、新しい商品を試すなら、一人で決めるよりもみんなで話しながら買い物をすると楽しいですからね。
ー生活必需品というよりは人々の生活がポジティブになる商品の扱いが多いこともQoo10のコンセプトに合っていますね。ではテーマについて詳しく教えてください。今回テーマの中に「AI」が入っていますが、これはなぜでしょうか?
間違いなくAIは新しい時代の流れを作るからです。私たちQoo10にはお客様の購買情報だけでなく、たくさんのお客様のレビューデータがあります。こうした膨大なデータをAIと連動してもっと楽しくお買い物ができる時代が来ると考えているのです。
Qoo10のテーマを考えるヒント
ーAIで商品のマッチング精度は上がりそうですね。
確かにAIを活用すれば商品検索結果の精度を上げることはできると思いますが、今回マイナビキャリア甲子園を通じて高校生の皆さんに求めているアイデアはそのように効率的に売上を向上させるようなアイデアではありません。それはあくまで私たち企業側がやっていくべきことだと思っているからです。そうではなく、単純に皆さんが使っていて楽しくなるもの、ワクワクするもの、そうした仕掛けを高校生視点で考えていただきたいのです。お買い物の体験全部をデザインするようなスケールの大きなご提案も大歓迎です。
ーただただAIを使って利便性を高めるというものではなく、今回大切なのは消費者の気持ちをいかに動かすかということですね。スマートフォンやインターネットを使ったサービスに限定した方が良いでしょうか?
いえ、オフラインとの連動も大歓迎です。実際私たちはこれまでも大規模な音楽フェスに協賛し、ブースを出展してフェスに参加されるお客様と一緒に特別な体験を作る、という仕掛けを実施しています。

Qoo10ブースの中ではコスメアイテムや女優ミラーが設置されているパウダールームを作りました。“推しに会う時は綺麗でいたい”というのがファンの心理かと思いますが、そんな想いを叶えることをお手伝いすることで、Qoo10の世界観を知っていただこうという取り組みです。何かに熱中したり、楽しくなるような場所やアクティビティであればQoo10と相性はいいと思います。

ーお聞きしていると女性ユーザー向けのサービスのように聞こえますが、男性向けのアイデアでもよいでしょうか?
もちろん男性を相手にするのも歓迎です。もっといえば商品カテゴリを増やして展開する企画も面白いですね。私たちQoo10では親会社のeBayで扱っている商品も含めると13億点の商品があります。そうした巨大プラットフォームとの連動を意識しても面白いと思います。

ー逆にQoo10らしくないアイデアはどのようなものがありますか?
私たちは、大量に効率よく満遍なく進めていくのは得意ではありません。それよりは何かに特化して、そこに刺さるシャープなものを考えて実行していく方がQoo10らしいですね。また、せっかく高校生の皆さんに考えていただくので、若者当事者の課題に寄り添える企画の方が望ましいです。もちろん、若者向けサービスに特化してほしいということではなく、皆さんが自ら感じていること、アイデアを聞いてみたいと思っています。
ーありがとうございます。では最後に、マイナビキャリア甲子園に参加される高校生の皆さんにメッセージをお願いいたします 。
ITやインターネットが台頭し始めた時代、私は世の中の大きな成長と無限の可能性を感じました。そして実際に時代は大きく変わっていくと同時に生活者の行動変化が生まれ、それが数々の新しいビジネスを生み出していきました。
AIネイティブ世代である高校生の皆さんは、これからの変革をリードしていく立場にいます。これからは、「何を問うべきか」という根幹からビジネスをデザインしていく時代であり、このマイナビキャリア甲子園はその第一歩とも言えるのではないでしょうか。
皆さんが未来のビジネスシーンの新しい模範となるよう、才能と情熱に強く期待しています。
