昨年度初参加で、見事優勝チームを輩出したロッテ。日本を代表する有名お菓子メーカーであり、知らない人はなかなかいないだろう。そんなロッテの今年のテーマは「ガム」。話を聞くと、ガムについての意外な事実がたくさんあった。(取材:羽田啓一郎)。
お話を伺った方
小巻 翔さん
関西出身。昔から生物が好きで、高校進学の際も理数科がある高校を選んで入学した。大学では納豆菌の研究をし、さらに理解を深めたいと大学院に進学。もともとガムをよく食べる方ではなかったが、就職活動の時にロッテの会社説明会で聞いたガムに対する思いや技術力に惚れて、ガムの研究員としてロッテに入社した。現在はマーケティング担当として商品の企画や販売促進を行っている。
11回大会はロッテ代表がInnovation部門で見事優勝!
ー本日はよろしくお願いいたします。昨年はロッテ代表チーム「ロッテで繋がろって」が見事優勝しました。彼らを選んだ理由はなんだったのか教えていただけますか?

こちらこそよろしくお願いいたします。昨年は「ロッテで繋がろって」が素晴らしい成果を残してくれました。準決勝大会では他のチームの皆さんもそれぞれ素晴らしく、非常に悩みました。ただ、アイデアのスケール感や世の中に広がっていく感覚を一番持てたのが「ロッテで繋がろって」のアイデアでした。決勝に向けて私たちもアドバイスはしましたが、彼らは自分たちのアイデアに自信を持っていて、譲らない部分は譲らない、でも変えるべき部分については柔軟に対応していました。非常に頼もしいチームでしたね。
ー彼らが優勝した時、どのような思いを抱きましたか?
彼らの決勝本番のプレゼンは本当に素晴らしかったのですが、さすが決勝大会まで勝ち進んだだけあって他のチームもとても素晴らしくて・・・。正直、結果はどうなるかわからないという気持ちで見守っていたので、優勝がわかった時は興奮しましたね。社員一同、感動しました。今年も優勝すれば大会史上初の2連覇ですよね?私も高校生の皆さんと一緒に戦うつもりで頑張りたいと思います!
ーありがとうございます。では今年のテーマについていろいろ聞かせてください。ガムは私たちにとっても身近な商品ですが、ロッテのガムの歴史について教えていただけますか?
ロッテは1948年の創業時からガムを扱っていましたが、実はガムには単なる食品としてではなく、時代ごとの社会変化や課題解決の側面を持っています。その頃は戦後間もない時代で、“子供たちが楽しめる甘い食べ物”として発売し親しまれました。その後、1960年頃、それまでお見合い結婚が主流だった時代から自由恋愛に変わってきた時に“お口のエチケット”としてガムが利用されるようになりました。
次の大きな変化は1970年代に研究を開始し1997年に発売したキシリトールガム。“歯の健康のため”のガムです。「お菓子でありながらオーラルケアができる」という新たな価値を創出し、市場を大きく拡大してきました。
このように、ロッテのガムの根幹にはその時代の課題を解決するという思想があるのです。

ーガムは「噛むお菓子」というくらいの印象しかなかったのですが、驚きました。
ガムは意外と奥深いんですよ。ガムの起原は西暦300年頃のマヤ文明まで遡ります。当時は樹液を煮詰めて固めたものをもぐもぐと噛んでいたそうです。樹液なので味はないのに、なぜ噛んでいたかというと「噛む」という行為自体に気持ちを落ち着かせる効果があるからなんです。当時それが科学的に証明されていたわけではないですが「噛む」というのは人間の根源的な欲求であり、それこそがガムの魅力の本質と言えます。口の中に残り、噛み続けられる食べ物というのはガム以外ありませんからね。
ー噛むこと自体に意味があるんですね。
他にもいろいろな研究が進んでいて、例えば「噛む」と脳血流が増加し、記憶力や集中力に影響するだけでなく、免疫や自律神経にも影響があるようです。目の疲れや美容、さらには毛髪などにも効果があると言われています。
ーガムにはたくさんの風味があるという楽しみもありますよね。
そうですね、ロッテでもたくさんのフレーバーのガムを発売していますが、実は90%くらいは同じ作り方なんです。香りが違うことで違う味のように感じているんですよ。ガムって、シンプルだからこそ奥深く様々な表現ができるんです。

ガムの新しい楽しさを高校生に考えてもらいたい
ーガムの意外な魅力がよくわかりました。次に、今回のマイナビキャリア甲子園のテーマについても教えてください。今年のテーマにした背景はどんなところにあるのでしょうか?
既にみなさんもご存知かと思いますが、今世界は急速に変化しています。これだけ変化の大きな社会の中では、どの企業も一つの戦略だけでなく複数のビジネスプランをもって時代に乗っていく必要があります。ロッテのガムも「噛む」ことを基軸にした事業戦略はあるのですが、今回マイナビキャリア甲子園では、高校生の皆さんにガムの新しい可能性を提案していただきたいと考えています。
ー新しいガム商品を考える、ということですかね?
いえ、ガムの新商品アイデアではなく、ガムを使ってどんな社会課題を解決できるかという点に注目していただきたいです。社会課題と一言で言ってもいろいろな課題がありますが、そこは高校生の皆さんが感じている・気になっている課題で結構です。一般論として言われている課題よりは、高校生の皆さん自身が感じている課題をガムを使ってどう解決するかを考えていただきたいです。だからテーマにも「商品」ではなく「サービス」という言葉を使っています。
ー「世代を超えて」という言葉も入っていますが、これはどういう狙いがあるのでしょうか?
幅広く様々な人に愛してもらいたい、という思いからです。先ほどからお伝えしているとおり、ガムは噛むことによるリフレッシュやエチケットなどの効果がありますが、それって全部ベクトルが自分に向いていますよね。そこの概念を突破したい。例えばお菓子はプレゼントとして渡す使われ方もありますが、人と人の間にガムが介在するようなアイデアは考え方としてヒントになるかもしれません。ロッテは、「独創的なアイデアとこころ動かす体験で人と人をつなぎ、しあわせな未来をつくる。」というパーパス(企業の活動目的)も掲げています。「こころ動かす体験」というのがキーワードだなと思っていて、ガムを使ってどんな体験ができるか、ガムを使った新しいコミュニケーションのあり方、もしくは生活習慣や文化、これらを皆さんに考えていただきたいですね。
ロッテのテーマを考える上でのヒント
ー逆にこういう考え方はロッテとしては受け入れられない、というものはありますか?

繰り返しになりますが、単純な新商品のアイデアだけだと少し評価が難しいです。ガムを使ってどんな新しいサービスを考えられるか、を大切にしてください。
もちろん、新商品のアイデアが起点となって、その商品を使ったイベントが開かれるとか、コミュニケーションのツールとして使われる、など新商品のアイデアにはとどまらない、そこから文化や交流に繋げるようなアイデアになっていれば大歓迎です。
また、口に残り続けるというガムの物質的な特徴は消さないでほしいです。「噛んでいると消える」のはその時点でガムではなくなってしまうので・・・。ガムがガムたる所以は噛み続けられる、という点にあります。健康や機能について先程お話ししましたが、もっとガムを使って、人々の生活が明るく楽しくなるようなアイデアを見てみたいですね。
ーグローバルを視野に入れてもよいですか?
もちろん大丈夫です。ただ、ガムを噛むことの捉え方は国によって異なっています。歯を守るキシリトールガムが普及しているのはフィンランドと日本がダントツです。欧米の方々はガムをよく噛んでいますが、リフレッシュや味を楽しんでいることが多いようですね。そうした文化背景の違いも踏まえた上でのアイデアは大歓迎です。
ーちなみに、今回高校生がロッテのテーマに取り組む際に普段ガムを食べない子も食べてみると思うのですが、おすすめのガムはありますか?
個人的にはキシリトールのライムミント味がおすすめです。スッとした感じが苦手だったら、7種類のフレーバーが楽しめるアソートボトルを買って家族や友達とシェアしてみると楽しいですよ。ぜひ手に取っていただいて、ロッテのテーマに取り組んでみてください。楽しいアイデアにしていただきたいので、チームメイトと楽しみながら取り組んでみてくださいね。みなさんのアイデア、とても楽しみにしています!
