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セコム テーマ解説インタビュー

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昨年度大会からマイナビキャリア甲子園に参加し、審査員特別賞チームを輩出したセコム。今年のテーマも目を引くキーワードが並んでいる。それらの言葉に込められた意図とは?高校生が課題設定をするための考えるポイントとは?セコムのテーマ攻略に挑む方はもちろん、ものごとの考え方、捉え方の参考にもなるインタビューをお届けする。(取材:羽田啓一郎)

お話を伺った方

沙魚川(はぜかわ) 久史さん

幼い頃から新しいものが好きで、小学生の頃からプログラミングを始める。既存の物事を覚える歴史が苦手で、それよりも新しい物事を作りたい、と考えて理系のモノづくりの道へ。大学院の研究は終わりがなく、研究を続けるうちに四つの大学院を卒業している。日本のGDPの70%はサービス産業なのに、工学的には確立されていないところが面白いと思い、サービス産業で研究所を持っているセコムに入社を決めた。現在、セコムのオープンイノベーション活動の代表者を務める。

昨年度大会、高校生のどんな点を評価した?

ー昨年初めてマイナビキャリア甲子園にご参加いただきましたが、いかがでしたか?最終的に代表チーム「Brosis」を選んだ理由も教えてください。

沙魚川 :昨年、本当に多くの高校生チームのアイデアを拝見させていただきました。私たちは、「大人に寄せない等身大の問題発見力」を期待していたのですが、その点が本当に良かったです。アイデアそのものは経験値や技術的な知識も必要で、そこは伸び代があるチームが多かったですが、各チームとも課題設定が自分ごと化されていて、私たちも驚かされることが多かった。その中で私たちの代表チームとしてBrosisを選んだ理由は、セコムでは気づけない、今の高校生だからこそ気づくことを課題に設定してくれたからです。

ー決勝に進む前はどのようにBrosisをサポートされたのでしょうか?

アイデア自体を大人の知識で変えてしまうのはよくないと思ったので、あくまで彼らが自分たちで考えたアイデアや想いがちゃんと伝わるかをフィードバックさせていただいたつもりです。Brosisは4人それぞれ別々の地域・別々の高校というメンバー構成で、決勝の2週間前まで実際に会ったことがないというチームでした。それゆえパワーポイントの見た目上はしっかりできていても「人に伝えていく」という大事な部分がどうしても弱かった。それでも本番直前までブラッシュアップと練習を重ねて、最後は素晴らしいプレゼンテーションを披露し、審査員特別賞に輝くことができました。

便利なだけでなく、人の気持ちが動くかどうかがセコムの大切なポイント

ーそれでは今年のテーマについて教えていただきたいのですが、改めてセコムがどういう会社なのか教えていただけますか。

沙魚川 :セコムは、「社会にとって有益な事業を行うこと」を基本理念とした会社です。創業以来誰もが安心して過ごせる社会をめざして、セキュリティを中心に、防災、メディカル、保険、地理空間情報サービスなど様々な事業を展開、16の国と地域で事業を行っています。

ーセコムというと防犯セキュリティの会社とイメージする方が多いと思いますが、それだけではない、と。

沙魚川 :そうですね、社会の不確実性が高まるなかで、「安全・安心」はますます必要不可欠なものとなっていますし、社会の変化にあわせたサービス開発が必要になってきます。「安全・安心」というと、健康や災害、お金や暮らしのこと、家や街のこと、様々な事柄があります。私たちセコムはそうした変化に対して技術を使い、「新しい当たり前」を常に作り続けてきました。

ー「技術を使った新しい当たり前」とは例えばどのようなものがありますか?

沙魚川 :例えば「人が宿直して警備するのが当たり前」だった時代に、私たちはセンサーを使ったセキュリティという新しいサービスを作りましたが、今では「会社や住宅のセキュリティといえばセンサーを活用するもの」というのが当たり前に変化しましたよね。他にも、AEDがどこにでもあることが当たり前の世界、ロボットが一人で巡回や点検するのが当たり前の世界を作ってきました。そこで今回、これからの時代を担う皆さんと一緒に、「新しい時代に新しい当たり前を生み出す」という前提で、若い世代の“ほっと”を生み出すアイデア/皆さんが”推したくなるサービス”について考えてほしいと思っています。

ー今回のテーマで気になったのが「ほっと」なのですが、これは「Hot」と「ほっとする」のどちらの意味なのでしょう?

沙魚川 :どちらでも構いません。私たちは、ただ単に技術が優れた製品を作りたいわけではなく、ユーザーの感情の変化をおこすものを作りたいと考えています。便利だったとしても、使った人に感情の変化がおきないと商品化しません。例えばテレビのリモコンにはいろいろなボタンがついていますが、実際、すべてのボタンを使いこなせている人はいないと思います。私たちはもっと人の気持ちが動くサービスを作りたい。ですから、安心した良かったにつながる「ほっと」であっても、あるいはグッとくる「Hot」であっても皆さんの心が動く体験であればいずれの意味でとっていただいても構いません。

ー技術を使いながら人の気持ちや感情が動くサービス、例えばどんなものがありますか?

沙魚川 :高校生の皆さんにイメージがつきやすい事例を二つご紹介します。一つ目は「AIルフィ」。これはバーチャルキャラクターが常駐警備サービスを提供するセコムのセキュリティシステム「バーチャル警備システム」を活用し、みなさんご存知の人気キャラクターワンピースのルフィがAIによる自律対応で来訪者への応対をしてくれるものです。アニメ版の声優さんにもご協力いただき、自然な合成音声でその場に合わせてAIが自律生成した会話ができるのです。これには大きな反響がありました。

ー確かに、無機質なバーチャルセキュリティロボットより、はるかに人の感情を動かしそうですね・・・!

沙魚川 :二つ目はApple社から開発協力を受けて今年リリースした「YORiSOS」。Apple Watchのアプリなのですが、Apple Watchの健康管理機能とセコムのセキュリティ機能を融合させた新しいサービスです。Apple Watchの転倒検出機能と連携する日本初のアプリで、着用した方が転倒した時に起動しセコムに通報が入り、緊急対処員による駆けつけを要請することができます。ご自身で利用するだけでなく、高齢者の方と離れて暮らすご家族にとってもずいぶん安心できるようになるのではないかと思います。

自分自身が「推せる」アイデアに期待!

ー技術を使って便利にするだけでなく気持ちや感情を動かす、ということの意味がわかりました。あとテーマで気になったのが「推し」という言葉。これはどういったニュアンスで考えればいいのでしょう?

沙魚川 :アイドルやアニメキャラなど、「推し」の存在がある高校生も多いと思いますが、「推し」ってまさに今の若い世代のカルチャーだと感じています。皆さんそれぞれ「推し」があるように、今回提案してもらうアイデアも「自分が推せる」ものにしてほしいと思い、この言葉を使いました。

ー面白い視点ですね。つまり自分で推せるアイデアでないとダメだ、ということでしょうか。

沙魚川 :そうです。どんなに綺麗にまとまった企画書でも、皆さん自身がそのアイデアを好きかどうか、推せるかどうかをよく考えてもらいたいなと思っています。インターネットとか本とか、どこかに載っている情報で考えるのではなく、皆さんが自分自身の生活で感じた問題意識を、セコムの技術や強みを使ってどう解決できるかを考えていただくといいかもしれません。

ー冒頭でもお話しされていた課題設定の大切さですね。しかし課題をいかに発見するか、難しく感じる高校生もいるかもしれません。何か考え方のコツはありますか?

沙魚川 :いかに当たり前を疑えるかじゃないでしょうか。世の中は先人たちが築いた当たり前でできています。何でそうなっているのか実はよく分かっていないけれど残っている慣習ってあると思うんです。なんとなく当たり前だと思って受け止めている流れがありますが、そこに気づけるかどうかです。自分の身の回りのルールや慣習を一度「これってなんでこうなっているんだっけ?」と考えるトレーニングをしてみてください。

ーありがとうございます。それでは最後に高校生へメッセージをお願いします。

沙魚川 :今はスマホやPCを開けばいろいろな情報に出会えますが、最後に大事にできるのは自分の感覚です。大人のアドバイスもいいけれど、自分が面白いと思えるかどうかを大切にしてほしいです。自分たちが面白がれるかどうかはプレゼン資料に残りますし、やはり見ていてわかるものです。楽しみながら取り組んでほしいですね。そして昨年大会は決勝後の慰労会でBrosisにセコムのヘリコプターに乗ってもらったのですが、今年は決勝大会前にヘリコプターに乗って、空から社会を捉えて俯瞰しながらアイデアをブラッシュアップできる機会を作りたいと思っています。まずは準決勝大会でお会いしましょう!

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