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ミツカン テーマ解説インタビュー

2022年大会に初めて参加したミツカン。今回は味ぽんブランドに関するテーマだ。広く普及し、愛されている商品・味ぽんにはどんな課題があるのか?その思いを聞いていくと、今回出題されたテーマへの理解が深まるはずだ。ぜひ読んでみてほしい。(取材:羽田啓一郎)*この文章は2022年8月に取材した情報をもとにしています。

■お話を伺った方

吉岡 真優さん

高校の進路選択の際、なりたい職業が明確になっておらず、選択肢が広く持てるようにと文学部を選択。大学入学後、教育心理学を専攻した。その後、「性別国籍関係なくさまざまな人を幸せにできる仕事」を軸に就職活動をする中で、食品業界、その中でも、そのまま飲んだり食べたりせず、誰かの一手間が加わって成り立つ調味料を作る企業に魅力を感じ、ミツカンに入社。営業の仕事を経験した後、現在はメディアやマーケティング関連の仕事に従事している。

■味ぽんという商品が持つ課題とは?

ー今日はよろしくお願いします。味ぽんは多くの日本人にとって馴染みのある商品かと思いますが、改めてどういう商品か教えてください。

吉岡:よろしくお願いいたします。まず私たちミツカンは創業215年を超える会社で、常に「食」に対して真剣に向き合い挑戦してきました。その中で「味ぽん」というブランドは、もうすぐ還暦を迎えようとしているブランドです。日本では古くからぽん酢という調味料は広く愛されていますが、その中でも「味ぽん」は特に人気がありますね。

ー味ぽんはぽん酢の一種ということですか?改めて考えてみると“ぽん酢”と言われると味ぽんを連想していました・・・。しかしそれだけ長い間、他社商品もある中で支持されてきた理由はなんなのでしょうか?

吉岡:ありがとうございます。元々ぽん酢はオランダ発のかんきつ果汁を使ったお酒「PONS」が語源と言われており、時代とともに調味料へと変化し、醤油などを加えて様々な料理に使えるようにアレンジしたのが味ぽんなんです。他社様でもぽん酢製品は販売されていますが、味わいは食べ比べると結構違うのですが、実は原材料や機能的価値などの点では、ここが違う!という大きな差は正直ありません。味ぽんが発売されてから58年間も続いてこられたのは、味ぽんの品質を保ちながらも、生活様式の変化やお客様のライフスタイルに合わせて味ぽんの使い方をご提案してきたこと、これこそがブランドがここまで成長できた理由なのではないかと思っています。

ー誰もが知る商品ですし、何か課題があるとはあまり思えないのですが・・・。

吉岡:いえいえ、そんなことはありません。昨今、ブランドを維持・成長し続けることは大変難しく、味ぽんもその時々でぶつかる課題に対して常に試行錯誤しながら、壁を乗り越えてきました。直近で抱えている課題感としては大きく2つあります。まず1つ目は生活様式や家族構成の変化に伴い、「若年層との接点が減っていること」です。発売した1964年当時は2,3世代が同居する「拡大家族」も多く、家族みんなで水炊きを囲み、その食卓に「味ぽん」が存在していたことで「原体験」となり、味ぽんというブランドが家庭の中で伝承されていました。しかしだんだんと核家族化が進み、自分の親また更にその親が購入していた「味ぽん」というものに幼少期から触れる機会が減少し、結果としてみなさんのような若年層の方々との接点が非常に少なくなっているのです。

ー確かに味ぽんを使用する機会の一つである家庭環境は大きく変わってきていますね。

吉岡:そうなんです。また、2つ目の課題は「ぽん酢カテゴリーから脱却し、“味ぽん”として選ばれるブランドになること」です。こちらも時代の変化によるものですが、調味料の多様化が進むことで、今スーパーの棚を見てみると、ぽん酢に限らず、非常にたくさんの調味料が並んでいます。そんな中で「ぽん酢の中の1つのブランド“味ぽん”」ではなく、「唯一無二の“味ぽん”という調味料」だと思ってもらうにはどうしたら良いか。味ぽんならではのブランド価値を高めていかなければいけないと考えており、そこに課題感を持っています。

■マイナビキャリア甲子園のテーマに込めた思いとは?

ーなるほど、そうした課題感もあり、今回マイナビキャリア甲子園にテーマを出題されたのだと思いますが、テーマにもある「半径1m」という言葉について解説いただけますか?

吉岡:味ぽんというブランドは、発売当時から「家族で囲む食卓のだんらん」に寄り添ってきた調味料ですが、先ほどもお話しした通り、食を巡る文化、習慣が変わっている中でこの“だんらん”という言葉を捉え直そう、という取り組みが社内で数年前に立ち上がりました。“だんらん”とは、今の若い人たちにとってどんな場なのかをテーマにZ世代の皆さんを集めてワークショップを行ったのです。そこで感じたのは、今の若いみなさんにとっての“だんらん”とは家族に限らず素でいられる人との繋がりのことを指しているのだな、と。そうした人たちとの関係性、時間、空間を大事にしているなと感じました。

ー確かにそれはあるかもしれませんね。スマホを1人一台持ち、ほとんどの人がSNSという自分にとっての居心地の良い空間や人格を持っています。

吉岡:そうなんです。そしてもう一つ、Z世代の方と直接お話しして私が個人的に驚いたのが“多様性”を自然に受け入れているところです。他の人が自分と違っても抵抗はなく、自分は自分、他者は他者、と分けて捉えられることができています。ではこうした変化の中で、この後も長く味ぽんブランドが続いていくためにはどうすればいいのか。味ぽんに対して思っていただけている良い所や、イメージはそのままに、変えなければならないものは変えないといけない。そこで、“だんらん”という枠を広げて“半径1m”というコンセプトが出てきたのです。

ーなるほど、半径1mをどのように解釈して考えるかが重要そうですね。しかし商品を考えるときに”だんらん”という言葉の解釈の分析をしたりするのですね・・・!

吉岡:それはミツカン創業以来受け継がれている「2つの原点」が影響しているかもしれません。それは「買う身になって まごころこめて よい品を」と「脚下照顧に基づく現状否認の実行」です。ミツカンのすべての社員が、これらを常に心がけ実践しています。この2つを実行することで、単に業績向上を目指すのではなく、「限りない品質向上による業績向上」を目指しています。伝統を守りつつも、決してそこにとどまることなく、常に変革と挑戦を繰り返すことで成長しています。味ぽんブランドを、これからも長く皆さんの生活の中に置いて頂くために、現状に満足せずに新たな挑戦を積み重ねていきたいと思っています。

■高校生に期待していること

ーでは最後に、高校生に期待していることを教えてください。

吉岡:そうですね、高校生みなさんならではの視点で、味ぽんが大事にしたい「半径1メートルのしあわせ」(身近なしあわせ)を定義頂ければと思います。みなさんご自身にとって「“半径1メートルの中で感じられるしあわせ”ってなんだろう?」と考えてみることがヒントになると思います。それを「味ぽん」というブランドを通して可視化していく際、どんな事業展開があるのか、ぜひアイデアをお聞かせください。

ーちなみに今回はプロモーション戦略等に限らず、例えば商品提案でもいいのでしょうか?

吉岡:はい、商品戦略でも、プロモーション計画でも、これまでミツカンが取り組んでいない全く新しい形態の新規事業でも、構いません。究極、調味料でなくても構いませんよ。もちろん、半径1メートルのしあわせ、というコンセプトは守っていただきたいですが。

ーミツカンという会社は味ぽん以外にも多くの魅力的な商品がありますが、味ぽん以外の商品の提案でも良いですか?

吉岡:今回は味ぽんだけに限定させてください。味ぽんブランドがお客様に長く愛していただけるためには何が必要なのかを自由に考えていただきたいです。皆さんのアイデアは社内の味ぽんチームも非常に楽しみにしています。

ー高校生が自分達の感覚、価値観を客観的に捉えることが重要そうですね。

吉岡:高校生のみなさんはコロナの影響もあり、私たち大人が経験したことのないような高校生活を送られているのではないかと思います。大勢で集まりにくくなったり、行事が制限されたり、これまでできていたことができなくなっているところがある一方で、オンライン授業などデジタルを介して容易に会話ができることやバーチャルリアリティなど、急速な進化にいち早く対応している世代でもあります。そういった、みなさんが生活の中で肌に感じている変化や自分たちのしあわせを捉え直しながら、ぜひみんなで協力して楽しみながら取り組んでいただければと思います。私たちには思いつかないような、みなさんならではのアイデアが出てくることを期待しています。

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